第8話 俺の認める教師、「ひよちゃん」

そうして、現代文と数学の授業を受け昼飯の時間になった。


「ねぇ、また数学教えてくれる?」


まあ、確かに今日の授業はキツかっただろうな、あれはヘーベード大学の過去問だ。

「どこだ?見せてみろ」


「ここなんだけど…流石に北川君でもキツかった?」


ほう、これは過去最大級に簡単に作りすぎた時の試験問題じゃないか。

「これは、掛け算の応用だ。」


「えっ!でも、こんな複雑な式…あっ!

この式を始めに持ってきたらできるかも!」


少しヒントを出してやっただけでできるのか。

まあSクラスだけはあると。

「正解だ!」


「やった!

ありがとう…あのさ一緒にお弁当食べない?」


「おい、アタシの旦那様、誘惑してんじゃねぇよ」


「ヒィッ」


「おい、良?

俺の大事な友達なんだが?」

変態じゃない友は貴重だ!


「ご、こめん。

あと、はい、これ」


こ、これは!弁当!

「本当に作ってきてくれたのか!」


「もちろん!頑張って作ったからちゃんと食べてくれよ?」


「被っちゃったか」


「なんだ?

飛鳥も作ってきてくれたのか?」

それだったらすまないな。


「ううん、気にしないで!

渡辺さんの方が私なんかよりよっぽど美味しいだろうし」


「まあ、渡辺の飯の美味さに勝てる奴はいない」


「ちょっと、佐久君!」


「でもな!

お前の俺を思って作ってくれた思いだけは良には負けない!

まあ、良も多少は思ってくれたかもしれんが、これは俺が作ってくれと頼んだものだ。

ということは絶対に心のどこかで『強制』という言葉があった。

でもな、飛鳥は強制でもなんでもない、俺のために作ってきてくれたんだ!

味なんて関係ねぇ。

それも俺に食べさせてくれないか?」

人の為を思って作った飯は美味い。

今気づいたが、多分政府の役人に頼んだ飯は愛情が籠もってない。

だからどんなに飯が美味かろうと愛情が籠もらなければ意味がないと言うことだ。


「そこまで言うならしょうがないなぁ、はい!」


「おう、というか二人共、差し出されてもこの腕じゃ受け取れないんだが…」

本当にこの手はクソだな、こんな怪我、昔は何度もしていたが任務には支障を出してなかったのに。


「そうだったな」


「ごめん、ごめん」


俺と飛鳥は良いが良の机はどうするのだろうか?


「あ、あのさ、つつつ机か貸してくれれれれれるるるるる?」


多分脅す以外の方法で頼み事をしたことが無いんだろうな…


『い、いいよ、デュフ、良チャンノ………』


なんかあの女怖いな、まあ良は腕っ節が強方だからな心配はいらないだろう。

「は、はぁ、無事に借りられて良かったー。

アタシ、怖くにかったか?」


「うん、ぜ、全然怖くなかったよ?」


流石に無理があるぞ?

「変な笑顔怖いぞ?

もっといつもみたいな自然な笑顔なら怖くないけどな」

いつも堂々としてる良がキョドるなんてな。


「それじゃあ、「「いただきます!」」」


「私のは唐揚げだよ」


「アタシは豚カツだ」


「「はい、あーん」」


2つ一緒は無理だろ。

「ちょっま…ブフ」

流石に2つ一緒はキツイ!

「うんまっ!」

カリサク感が堪らん!

豚カツも唐揚げもそうだが、中から肉汁がでてきて最高だ!

こんなのいつまでも食べていられそうだ。


「どう?」


「どうなんだ!」


「良は知っていたが、飛鳥も美味いぞ!

スパイシーが効いてて、唐揚げとはまた別物感がある。

豚カツはまあ安定の美味さだな」

しかし、美味すぎないか?

飛鳥はもう味が唐揚げじゃないが凄く美味い!


「アタシにはもっと何かないの?」


「なんか温かみがあるって感じだな。

もしかして…これがお袋の味ってやつか!」

家族と最後に食べた、肉じゃがのような、なんというか暖かい味だ。


……………………………………………

「ふぅ、食った食った。

しかし、二人共料理が上手いんだな。

今度俺に教えてくれないか?」


「「嫌だ」です」


は?そんなに俺といるのが嫌なのか?

もしや、これも魔剣の瘴気の影響だな!


「それって、もう私達の料理を食べてくれなくなるって言ってるようなもんじゃない」


「そうだ、料理が無かったらアタシとの二人の時間も減っちゃうし」


可愛いかよ!

いや、違う、今のは決して『ういちゃん』から浮気したわけではないからな!

こ、これも魔剣の瘴気のせいだ!

「いや、お前らが居ない時にコンビニの弁当なんてマズイ飯を食べたくないだけだ」


「た、確かにアタシ達が居ない時に体に悪いもの食べられたら困るな」


「で、でも教えたら教えたでいつかは私達を見捨てるに決まってます」


別に見捨てるなんてするつもりは無いのだがな…

「俺がお前らの味を100%表現できると思うか?」


フンフン


フンフン


「な、ならまあ良いか」

二人一緒にやられたらもう説得は無理だ。


「そういえば北川君は部活動とかってもう決めた?」


「ぶ、かつ、どう?」

何かの魔物か?

それか、何かの筋トレ法か?


「中学校とかでやらなかった?

ちなみに私はバトミントン部だったよ」


「アタシは手芸部だ」


ん?どうゆうことだ?

バトミントンと手芸が部活動とやらに何の関係があるんだ?

「その、部活動とやらは何なのだ?」


「んー、運動とか趣味を放課後にするために、誰でも参加できる会みたいな?」


なるほど?

つまり、授業が終わった後も学校に残り何かをするということだな!

「で、この学園にはどんな部活動があるんだ?」


「ん、これ」


なんだ?


「あっ、パンフレットだ!

ありがとね、渡辺さん!」


ほう、様々なスポーツや趣味のような部活があるな。

サッカー、野球、卓球…………スポーツはこれで全部か。

次は文化部?とやらを見てみるか。

美術、演劇、吹奏楽………………ほう、なかなか多いな。

良しっ、決めたぞ!

「俺はテニス部と手芸部に入る!」


「アタシも中学と同じ手芸部に入る、でもテニスも出来なくはない」


なんでわざわざ俺と同じのにしようとしてるんだ?


「じゃあ私もテニス部にしようかな?」


「良はまだ分かるが飛鳥はなんで俺と同じ部活なんだ?」

もしかして、ゼルダムの刺客か?

いや、それにしては隙がありすぎだ。


「いやー、なんかまあ北川君が他の生徒に馴染めなかったら申し訳ないし…そ、そうだ!

わ、私もテニス部に入ろうとしていたんだよねー」


まるで今思いついたように『そ、そうだ!』って言ったよな?

まあ、こいつが刺客だとしても俺には何の支障もきたせないだろうがな。


「じゃあ今日は手芸部に体験入部に行かないか?

丁度今日が活動日みたいだしな」


「そうだな」


「て、テニス部も今日活動日だけど?

そんな陰キャが入るような部活よりもテニス部に来るよね?」


「アァ?お前手芸部バカにすんじゃねぇぞ!」


なんか赤い火花が見えるのは俺だけか?

き、気のせいだよな?

「ま、まあ落ち着けって」


「佐久君は「北川君は黙ってて!」」


ホワイトドラゴンと闘った時よりこの事態を鎮静化するのはムズいぞ!

そ、そうだ!

「ハッハッハッやはり俺は天才だ!

両方に赴けばいいじゃないか!」


「「それだ!」」


「じゃあ、先にテニス部だよね!」


「いや、手芸部だろ?」


「いや、どっちでも良いだろ!」


「「良くない!」」


こいつら仲良いな。

や、ヤバイ、こんなどうでもいい事を考えてたらめちゃくちゃヒートアップしてるじゃねぇか!


「もういい、ここは拳で決めよう」


「私も結構自信はあります」


や、ヤバイもう間に合わない…


「「ジャンケン、ポン」」


「あー、アタシの負けか」


「ほら言ったでしょう?」


「なんなんだよ!

あー心配して損した」

いや、ホント良かった。

良が人間の中では喧嘩に強い事は分かっていたが、飛鳥もふっくらとした雰囲気を纏っているが何か習っていたようなキレイなスラッとした足。

それに、あまり見えないが腕にもそれなりに筋肉が付いている。

本気で殺りやっていたら、被害は計り知れん。


"キーンコーンカーンコーン"

もう授業か、こんなに楽しい時間は久しぶりだったな。

次は歴史か。



ガラッ


「これより、歴史の授業を始めるのですぅ、号令お願いしますぅ」


こいつホントに教師か?

ガキっぽい見た目だし、とても教えられるようには見えないが…


「起立!礼、着席」


「私はこのSクラスの歴史と地理の社会の授業を受け持つのですぅ」


この教師、背伸びしてやっと黒板の真ん中に手が届くくらいか。


「あのー悪いのですが余ってる椅子はあるですかー?」


『これでいいなら』


「ありがとうですぅ」


彼女は停学を受けている生徒の椅子に乗って岡田 姫和と黒板に書いた。

「これで、ひよりっと読むですぅ。

気軽に ひよちゃん と呼ぶですぅ」


周りを見回すと全員が 姫和 の事を見てうっとりとしている。

俺が『ういちゃん』を見るときのような反応だな。


「それじゃあ自己紹介はこれくらいにして、授業を始めるですぅ。

今日は世界史をやるですぅ」


『ひよちゃん 彼氏さんとかって居るの?』


「それが、出来ないのですぅ。

ってこんな事話している場合では無いのですぅ、いつも校長先生に注意されてるのですぅ」


絶対これ、校長の性癖で採用してるだろ!

あの校長だぞ?

やっと繋がった。

だから変な教師ばかりが集まるわけだ。


『ひよちゃん、頭撫でさせてくれよ』


「それで、勉強に集中できるのですか?

それなら1回だけなのですぅ」


『はい、勉強に集中するので、お願いします!』


「おい!キモい男子は喋んじゃねぇよ」


『ヒィッご、ごめんなさい。

集中します、集中しますから殺さないで!』


流石、良だな!

普通の人間とは威圧感が違う。


「それでは、今度こそ授業を始めるのですぅ」


それからはとにかく凄かった。

背の問題で文字を書くのは苦戦していたが、説明には無駄がなく時におもしろい例を出す、完璧な授業だった。

まるで未来を予測していたような、そんな授業だった。

流石、東京国立高校だってわけか。


授業が終わってからは姫和への質問タイムとなっていた。

あの良が先生の頭を撫でていたのは意外だったな。

まるで、仲良し姉妹を見ているようなそんな温かみがあった。

まあ、その光景を見るために俺の邪眼が一度も瞬きせずに頑張っていた。

邪神の意外な性癖をしれた。


「北川君も ひよちゃん の頭撫で撫でしにいかない?」


「おう」

ん?体が動かんぞ?

こ、これはまさか!

もう邪神が体の支配権を確立したのか!

ば、バカな!

俺は邪神の支配権を剥奪しているはずだ…もう一度だ、「フンッ、フッ、くおっ」だ、駄目か。


「大丈夫なのですぅ?」


「こ、これは姫和、先生じゃないか」


ゴツン


「ごっつんこなのですぅ」


は?なんだこれは!

花畑の中に居るような開放感!

それに、雲に乗っているかのようなフワフワ感。

『ふっふっふっ、私は心理学の勉強もしたことがあるのですぅ。

今は一時的にですが私が北川君の心理に干渉している状態なのですぅ。

かなりのストレスが溜まっているようなので、今日はよく寝るのですぅ。

先生の言う事が分かりましたか?』


『すまない、助かった。

急に邪神が体の支配権を取ってきてな、すまない』


『私はその邪神とか言うのは分からないですが、またこういう事があったら私を呼んでくださいですぅ』





「はっ!」

今のは何だったんだ?


「大丈夫なのですぅ?

もう次の授業が始まるのですぅ、また今度なのですぅ」


「すまないな、助かった」

今日から俺の第一号先生は姫和先生だな!









_________________

どうもイセです。

今回もお読みいただきありがとうございました!


姫和先生、現実にいたら良いですよね。

アニメとかで背が小さいけど大人枠っていうキャラ、個人的に結構好きです。


最近、更新の度に読んで下さっている方もいらっしゃるようでイセはいつもウキウキでPV数を見させてもらっております。

いつもいつも本当にありがとうございます。


※大事なお知らせ!

7月28〜30日までは学校の修学旅行が入ってしまい、ストックも無いので投稿が止まる可能性がございます。

本当に申し訳無いです。

頑張って作品を予約投稿出来るように頑張ります。


最後に、いつもいつも同じ事を言っていますが、★、❤、コメント、フォロー、お願いいたします。






























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