第6話 結婚しても吉野有紀子は語りたい。

「健やかなるときも病めるときも汝有紀子は死が二人を別つまで愛することを誓いますか?」

神父が言う。

 

はい、誓います。


「はい、ちかいます」

 そう言い、吉野和友は有紀子にキスをする。

 教会の鐘が二人を祝福するようにあたりに響き渡る。

 式を終えた二人は、彼らが新しい生活をはじめるために購入した家に帰る。


 ふーつかれたわ。でもたのしかったわ。私結婚式は二度目だけど、吉野くん、あっ今日から私も吉野だったわね、あなたとの結婚生活はきっとうまくいく気がするわ。だって、同じ趣味で同じ価値観で同じことに笑うことができる相手があなただもの。

 来週には百合子もこっちにひっこしてくるわ。転校の手続きをすませてね。

 あの子も吉野君、うんうん、あなたとの暮らしを楽しみにしてるのよ。

 この前やった桃太郎電鉄のリベンジをするんだってはりきっていたんだから。


 ふーやっぱり本は重いわね。

 ちゃんと作者別にならばないとね。うわっうる星やつら全巻もってたのね。そりゃあ重いはずだわ。

 ところであなたはどのキャラが好きなの?

 ペラペラ(本をめくる音)

 そうなのさくら先生が好きなの。そうね、アニメでもセクシーだったものね。うーん私は誰かな。うる星やつらは魅力的なキャラが多いものね。私はメガネかな。アニメのほうね。ビューティフル・ドリーマーって賛否あるけど私はけっこうすきよ。千葉繁さんの演技力は本当に個性的ですばらしいわよね。

 あっごめんごめん。こんなところで漫画よんでたら引っ越しの作業が終わらないわね。


 次はキッチンに行きましょう。

 そうそうお皿はそこの棚にいれてね。包丁とかはそこのひきだしにっと。

 コップとかはこの食器棚にいれてと。やっぱりこのスマーフのマグカップも持ってきたのね。私のルパン三世のマグカップも隣におこう。

 あー動いてたらなんだかお腹空いてきたわ。

 そうそう、引っ越しといったらお蕎麦よね。お蕎麦食べましょうよ。

 私たちの家から歩いてちょっといったところにお蕎麦屋さんを見つけたのよね。

 ねっ行ってみましょうよ。

 きまりね、じゃあ引っ越しもある程度かたがついたし、行きましょうか。


 二人は近くの蕎麦屋「冨士芳ふじよし」にむかった。


 はいっあそこの席ですね。ふーそとは暑かったわね。今日は気温が三十度をこすんだって。もうすぐ学校は夏休みだしね。ほらっあそこの席にも家族連れがいるわ。そうだ、もう私達も家族なのね。ねえっ今度は百合子と一緒にここに来ましょうか。あの子ね、カレーうどんがすきなのよ。

 でも今日はあついから冷たいお蕎麦ね。期間限定でゆずのお蕎麦があるんだって。私それにするわ。あなたも同じのにするのね。

 すいまーせん、ゆずの冷やし蕎麦をふたつお願いします。


 あーきたきた。とても美味しそうね。冷たいお出汁にゆずの輪切りがたっぷり入ってて、いい香りだわ。

 それでは頂きます。

 ずるずるずるごくごく(蕎麦をすする音)。

 わーとってもさわやかで美味しいわ。

 こくのある鰹と昆布のお出汁にゆずのさわやかな酸味たまらないわ。

 えっなんだか美味しんぼの海原雄山みたいだって。えへん、我は美食倶楽部の有紀子である。

 ずるずるごくごく(蕎麦をすする音)。

 はー本当に美味しいわ。

 美味しそうにたべるねって。まあ、私は食べるのが好きだからね。

 でもねこうやって美味しいものを遠慮なく、いっぱい目の前で食べられるあいてはあなただけよ。あなたの前ではなんだか自然でいられるっていうか素の自分でいられるっていうか。すごく楽なのよね。

 ねえ、そういう相手が本当の家族だと思わないかしら。 

 ふー美味しかったわ。

 これからも美味しいものいっぱい食べましょうね。あとアニメ見て、ゲームして、旅行も行って、そうそう演劇なんかも見にいきたいわ。

 これからもやりたいこといっぱい二人でやりましょうね、大好きよあなた♡♡

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

友永有紀子は昭和レトロについて語りたい。 白鷺雨月 @sirasagiugethu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ