第17話

バイトが終わって、今日はなんと先輩が奢ってくれるらしい。


 「どうしたんですか?先輩、奢りなんて」


私は知っている。先輩の奢り=先輩の不幸ということを。


 「彼氏と別れたから、使う予定だったお金。」


「そうですか、グチ聞いて欲しいんですね。」


「うん、うん!!」


このようなことは3回ある。

 何故か先輩はちょー可愛いくて優しい人なのに彼氏と別れやすい謎の呪いに掛かっているのだ。


 そんな先輩に対して、インキャ兄妹と言う、私も負けないくらい男運ないから気が合うのだ。


 「それでね、彼氏がね。お前、何でもいいって答えるから気持ち悪いって」


先輩の愚痴は加速する。


 「その、先輩はまだ連絡を取ってるんですか?」


「うん、一応は」


 うわっ、と思わず声に出た。


 と言うか、その元カレやろう、きっと別れたあとにーーーに先輩をしようとしている。


 正直別れて正解だと思った。


 問題なのは、先輩が元カレやろうにーーーとして利用されないかだ。


 「先輩、別れたあとって、寂しいですよね。」


「うんうん!!」


「なら、しばらく私の家で泊まりませんか??」


「いいの?」


「はい!!奢ってくれたお陰と普段の感謝です。」


「やったー!!」


 先輩はたまに子どものよう可愛いテンションになる。こんな先輩をほっておけるわけがない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る