第2話
図書館は校舎とは少し離れた場所にある。向かいには広々としたグラウンド。
裏には木々が生い茂る、自然に包まれた場所だ。
グラウンドからは健康的に遊ぶ同級生たちの楽しそうな声が聞こえる。
もちろん僕はそんなグラウンドとは真逆、生い茂る木々の中へ向かう。
奥へ行くと少し開けた場所に出る。ここには普段誰も来ない。ある意味、秘密基地的な場所。今は改造して椅子やちょっとしたテーブルを置き、木にはハンモックも吊るした。なかなか快適だ。
ハンモックに揺られながら昼食のワッフルを食べる。
そして寝る
チャイムの音で目覚めた。
腕時計を見ると15時
………やってしまった
午後の授業、2時間丸々サボってしまった。それもハンモックに揺られて。
そんな僕の後悔なんてまるで知らないと言うように葉の隙間からは太陽が照らす。
はぁ、帰るか
15時50分
気を取り直して帰宅した僕は3階の自室にいた。机の上にある写真を見る。そこにはまだ笑っている僕と胡夏ともういない少女がいる。
リビングに降りる。適当にテレビをつけるとソファでスマホを触る。
父親は小2の頃に交通事故で他界した。今は母親と二人で暮らしている。母親は一日中仕事で家にいないことがほとんどなので、家事は大体自分でやってる。父親が死んだとき悲しかった。でも立ち直り元気に暮らしていた。
僕が変わったのは去年。忘れもしない去年の8月13日。幼稚園の頃からずっと仲の良かった
仲直りは明日すればいい、明日には元通りだって思ってた。でもそんな明日は来なくて、次の日にはすべてが変わっていた。その日から僕は喋らなくなった。自分の言葉が誰かを傷つけるんじゃないか、自殺に追い込んでしまうんじゃないか。そんな事を考えてしまう。
騒がしい音が苦手になった。サイレンや野次馬の音に聞こえてくる。頭が痛くなり吐き気もしてくる。
周りの人は僕のせいじゃないと言うし、実際のところ未環が何を思って飛んだのかなんて分からない。別の理由があったのかもしれない。でも僕は責任を感じた。
なんであの時すぐ謝れなかったのか。スマホは持ってたし、家だって遠くなかった。仲直りはいつでもできたはずだ。なのになんで…
僕は今でもその時のことを思い出しては夢に見る。
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