第2話

屋上


 「ごめんなさい。やめてください、ごめんなさい。」


「ダセェ命乞いだな、おい」


 俺はずっと蹴られて叩かれ殴られ続けている。


 だけど俺には逆らう力も勇気もない。


 「なんで、テメェみたいなのが、三奈の幼馴染なんだよ!!」


「痛いです。許してください。」


「ならさ、お前ここから落ちてみろよ。」


「・・・無理です。死んじゃいます!!」


「三奈も言ってただろ。死んでくれってなぁ」


「ごめんなさい、それだけは嫌です。」


「嫌ですじゃねぇだろ。許して欲しいんだろ!!」

 俺はこの虐めっ子に引っ張られて、屋上の柵の外まで運ばれる。


  「こ、怖い。はやく、そっちに行かせてください」


「口答えしてるんじゃねぇよ!」


「・・・っ!!」

  また蹴られてしまった。


 「本当に、俺が幼馴染だったら、今頃あいつと」


「ごめんなさい、三奈さんと幼馴染ですいません」


「・・・っ!!本当にそうだよな」


 また飽きるまでボコられまくった。


 「本当に、そのまま死ねばいいのに・・・流石に飽きたな。お前俺は行くがお前ここで死んどけよ。」


「・・・・」

答える力もない。


 「無視してんでじゃねぇよ。」


 蹴られる。だか、もう既に留まる力も無かった。


 そして、屋上から落下してしまった。


 「おい!!ふざけんな!!!」


虐めっ子は手を伸ばすが、俺は伸ばす力すらない。


 「俺、死ぬのかな、嫌だな死にたくないな、怖いよ」


 最後に見たのは、たまたま落下中に見えた幼馴染の姿だった。

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