第8話 あの日の・・・

「どうしたのお姉ちゃん?ボーッとして」


「えっ?ああ、ごめんサクラ、ちょっと考え事してて」


 するとサクラは怪訝そうな表情をして言った。


「珍しいねお姉ちゃん、普段は悩むくらいなら何か手を打つのに」


「それは、そうなんだけど・・・」


 あんなにハッキリと詮索するなって言われちゃうと何もできないわよね〜


「そういえばサクラ、ワタシに何か用あったんじゃないの?」


 ワタシがそう尋ねると、サクラはそうだった!と手を叩くと携帯を取り出すと自慢げにその画面を見せつけてきた。


「それ、ネットフリスク?サクラ、サブスク登録したの?」


「うん!ファミリープランだからお姉ちゃんも登録できるよ!」


「そっかー」


 ワタシも後でやっておこっと・・・


「それでね、お姉ちゃん。このドラマ、懐かしくない?」


「あっ!そのドラマ!確かワタシたちが小2くらいの時のやつよね?」


「そうそう!せっかくだし一緒に見よう?」


 そう言うとサクラはワタシの横に座って動画を再生し始めた。


 このドラマは確か、主人公の男の子が家庭崩壊寸前の両親とまた仲良くなるために頑張るお話だったはず・・・


 確か主人公を演じた子は自分と同い年の男の子で天才子役って言われてたのを何となく覚えてる・・・


「ってこの子何だかどこかで?」


「どうしたのお姉ちゃん?」


「えっ?いやいや、何でもないわよ」


 でもこの子の目つきと雰囲気どこかで・・・そうまるで、まるで・・・


「もしかして・・・」


 ワタシはそう呟くと、その少年について調べる。そして、出た名前は・・・


 結城俊哉


 やっぱりそうだ、でも何で?アイツ、そんな事してたなんて一言も言ってなかった。


 やっぱりもうちょっと調べてみよう。


 ・・・・・・


 なるほど・・・


 小役時代のアイツについて調べて、いくつか分かったことがある。1つ目は母親の影響で子役を始めて自身も母親にべったりだったってこと。2つ目は、小6の時に母親の事故死をキッカケに役者を引退したってこと。


 とは言っても、2つ目はネット掲示板についてた眉唾物だけど・・・


「でもこれ知ったところで今のアイツにどう関係してるのよ!」


 ワタシが急にそう叫んだからか、サクラは肩をビクンと大きく震わせ、ワタシに尋ねる。


「キャッ!?ど、どうしたのお姉ちゃんホントに変だよ?」


「そうかしら?」


「そうだよ!たまには私にも相談して?」


「そ、そうね。実を言うと最近トシヤが何だか変なのよ・・・でも理由は教えてくれなくて気になってるのよ」


「へえ、トシヤ君が・・・多分エリちゃんとの生活に疲れてるとか?」


「それはないと思うわ。だってアイツ、そのことで文句言ってるのあんまり見たことないもの」


 そういえば・・・


 何でトシヤの奴、あんなにエリちゃんに尽くしてるのかしら?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る