第23話 リンの奉仕
「私のいた国では、嫁ぐ相手にはご奉仕をするものだと教わりましたので」
「いや、嫁ぐとかじゃなくて、奴隷契約をしただけなんだけど」
「奴隷……? 奴隷とは、どのようなことをすればいいものなのでしょうか?」
リンが人差し指を顎に当てて小首を傾げる。
「とりあえず、装備屋の店主が見繕った下着でも着てくれ」
「かしこまりました」
さすがに全裸はまずいので、彼女は黒い下着のようなものを身に着けていく。パンツを履き、悪戦苦闘しながら胸にブラを装着する。というかそれはマイクロビキニとでもいう代物だった。機動性重視しすぎだろ。
「リンは必要な時に戦ってくれればいいから、それまでは休んでいていいよ」
「休む……? それでは、私が奴隷になった意味がありません」
彼女は仰向けに寝ている俺の上にまたがってきた。
「え? 何するつもり?」
「私を使っていただかなければ意味がありません。さあ、ご命令を」
騎乗位の状態で迫るリン。下腹部には奴隷印が刻まれている。
俺も腰にタオルを巻いただけの状態だ。心臓がバクバク言っている。
「さあ、ご主人様、ご命令を」
「えっと、じゃあ……」
「あー、いいっ、そこそこっ! うまいぞ、リン!」
「どうですか、ご主人様、気持ちいいですか?」
「ああ、すごく気持ちいいよ」
リンに肩をマッサージさせる。
彼女の細い指は力の入れ方を器用に心得ている。だからこそピンポイントに凝りがあるところに指圧を加えることができる。
最近凝りも溜まってたしな、ちょうどいい機会だ。というかこれから命令すれば何度でもやってもらえるなんて最高だな。
「今度は腰もやってもらえるかな」
「かしこまりました」
俺の左手の指輪が光ると同時に、リンの下腹部の奴隷印も怪しく光る。
「あー、いい。すごくいいよ」
「ご主人様が喜んでくれて、私うれしいです」
揉みほぐすような指の動きに腰の疲労が取れていく。戦い続きの毎日、遺跡での一件もあり、ろくに休めていなかったからな。
ひた、ひた……。
「ひえっ、な、何……?」
「ご主人様の背中にオイルを塗っています」
ぬめぬめとしたオイルが背中に塗りたくられ、リンの指が上からなぞっていく。
「ちょっと、くすぐったいんだけど」
「背中の傷にも効きますよ?」
それはロックスにやられた傷だろうか。
「というかなんでそんなオイル持ってるんだ?」
「装備屋のご主人に頂きました」
ダンデ、そんなもの持ってたのか。真面目そうな人だと思っていたのに裏切られた気分だ。
「体中を、癒して差し上げますね」
そう言ってリンは俺の体の傷と疲れをオイルマッサージで取ろうとする。
ああ、気持ちいい……。
リンの五指が緩急をつけて体中をまさぐる。傷ついたところも、疲れたところも、癒してくれる。それから、彼女は体を俺の背中に押し付けてきた。
「私の体で、気持ちよくなってくださいね」
リンの小振りな胸が背中に当たる。すべすべしたお腹も、オイルで湿っていて滑る度に気持ちいい。
ああ、天国だな……。
この世界に来たのも、そんなに悪くないかもしれない。むしろこんなにいい思いができて、部屋に引きこもっていた以前より幸せだ。
気持ち良すぎて、そのままうとうとと俺は眠りに落ちてしまった。
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