後日談3『クリスマス大作戦3』
太一案 『雰囲気作りが何よりも重要! ドキドキロマンティックデート!!』
「寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い!!」
「おい、太一ここどこだよ……」
「……ウチ、太もも剥き出しなんだけど」
俺達は電車を乗り継ぎ、絶賛雪が積もっている隣の県の山沿いの街に来ていた。
「やっぱりクリスマスと言えば冬!! それを利用しない手はない!!!」
ドーン!!とスマホを俺らに見せる太一。
その画面には何やらイベントの情報が載っているようだった。
「えっと……『爆裂イルミネーション』? 何だこれ……。中学生が考えたようなネーミングだな」
「寒いクリスマスの夜に、二人抱き合って美しいイルミネーションを見る!!これに勝るデートはない!!!」
既に太陽は沈み、辺りの空は藍色に染まっている。
数週間に渡って開催されるらしく、会場には多くの人が詰めかけ、その点灯を待つだけとなっていた。
「マジで楽しみだねぇ~~」
「そうだな、ちょっと楽しみになってきたわ」
この寒さも確かに良いアクセントにはなっているような気がする。
……いや、やっぱり寒い。
気がするだけだった。
「おーい、豚汁だぞー」
そうこうして待っているうちに、阿久津が人数分のカップに入った豚汁的なものを買ってきてくれたようだ。
屋台とかもかなり出ていたし、そこで買ってきたんだろう。
「ほれ、佐々木」
「おっ、サンキュー」
「太一」
「後で金払うわ」
「巻き糞女」
「……唾とか入れてないだろーな」
「入れるわけねーだろ!!!! んだその発想! 思いつかなかったわ!!」
三者三様の反応。
イベントあるあるだけど、待ち時間が一番楽しいまである。
カップの蓋を外して一口。
うわ……染みる……。
冷えた体に熱すぎる豚汁が染みる染みる。
味噌と野菜のうまみが溶け合い、トドメに豚の脂が効いていて美味い。
「牛串も売ってたわ」
追加で四本の牛串を出す阿久津。
準備良いなー。
「あざーす」
「美味そうだな~」
「……舐めたりしてないだろーな」
「……もうお前は喰うなっ!! 牛に失礼だ!!!」
馬鹿話をしながら、炭火の効いた牛串をモグモグ。
あー、うめー。
これでイルミネーションも堪能できるんだろ?
最高の休日だなぁ……。
「……何かさ、違くね?太一」
「あむっ、これ……ただ友達と、モグモグ。イルミネーション、はむっ、見に来ただけだね」
一旦牛串喰うの止めろっ!!
「あっ、点灯した!! すごーーーーい、めっちゃ綺麗じゃん!!!!」
それまで暗かった会場が、急に眩い限りの灯りに照らされる。
……なるほど、確かにこりゃ綺麗だ。
広い会場というのもあるが、色とりどりの電飾が光り輝くだけで、そこは幻想的な空間に早変わり。
ワイヤーで原型を造り、その周りに電飾を結び付けている。
クリスマスツリーやサンタクロース、ソリをひくトナカイといった、いかにもクリスマスっぽいイルミネーションもあって、雰囲気もかなりいい。
「ちょっと、写真写真っ!! インスタにあげる!!!」
促されるまま、雅のスマホ(内カメ)で四人ピース。
重ねて言おう。
「……何かさ、違くね?」
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