後日談2『クリスマス大作戦2』

 


 ~12月21日~



「というわけで……、彼女役の舘坂雅さんでーす」


「ウィース、おねがいしまーす」


 何だコレ……。

 何の企画が始まった?


 年末のクソ寒い街の中に、俺と太一、阿久津。そして謎の彼女x……ではなく、雅がいた。


「コレは一体どういうことでしょうか」


「第一回チキチキ!! 『俺のデートが至高だ!! デートプラン考えまっしょい~~~~!!!!」


 珍しい。

 太一が悪ノリをしているなんて。

 こういうのはずっと阿久津の役割だったのに……。

 当の阿久津は太一の隣で「ドンドンパフパフ~~~~!!」と効果音を担当している。


「コレはですねっ! 彼女のいる佐々木君のために、我々が一肌脱ごうじゃないかと!!そう言う企画となっております!!」


「あの……太一もういいぞ? 司会者キャラ合ってないし」


「……そうか? 結構楽しかったんだけどな」


 何で不満そうなんだよ……。

 キャラ崩壊が怖くないのか?

 コイツ……。


「とまぁ……、冗談はここまでにして。要は佐々木のデートを成功させるために、俺ら一人ずつデートプランを考えてきた。それらを今からする。佐々木にはそれを参考にして木本とデートしてもらいたい」


「なるほど。……実践?」


「さっきも言ったろ? 彼女役の舘坂雅さんでーす」


「ウィース、お願いしまーす」


「お願いしまーす、じゃねぇ。なんでお前らそんなノリノリなんだよ……」


「えー、だってさ。七海ちゃんと佐々木がデートすんだよっ!!? マジでここ最近で一番上がる情報たいちっちマジサンキュ~」


 後半何言ってんのか分かんなかった。

 頼むから分かること言ってくれ。

 しかし、は分かった。

 要は、三者三様のデートプランを今から雅を使ってシミュレーションするというわけか。

 そして当日には、それを参考に俺がデートプランを考えると。

 最後に決めるのは俺自身ってわけか……。

 それもある意味コイツらなりの優しさなのかもしれない。

 考える余地のある、決して押しつけにならないような配慮。

 ……痛み入る。


「尚、デートが失敗しても我々は一切の責任を負いかねるのでそこはご了承下さい」


「責任負いたくねーだけかよ!! クソ、最低だな!!」


 前言撤回。

 流れるような阿久津の言葉に思わずツッコミを入れてしまった。


「あの……お前らに一応聞くけどさ」


「「「???」」」


考えたんだよな?」


「「……」」


 おい、なんでそこで黙る。


「酷いよ佐々木!! ウチ達はアンタはともかく七海ちゃんには幸せになって欲しいんだよ!?」


 演技くさいのは一旦置いておいて、雅は本心っぽい。

 なんだかんだ情には熱いギャルだから、そこは信用してもよさそうだ。


「はい、ということでございましてですね~! まず一人目はこの方!!」


 そう言いながら太一がゆっくりと手を上げた。

 お前かい。

 その前フリいらんだろーが。


「早速に向かって行きましょ~!!」


 目的地……?







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