Episode:12 もう一度、君とあの砂浜を


//穏やかな波の音

//砂浜を歩く音(ふたりぶん)


//イサナの声、出会った時よりも甘くなっている


「きれいなサンセットだねー」


「ふふっ。ここに来てから何度めの夕陽だろうね?」


「二十回か三十回か……」


「(いたずらっぽく)もう見飽きたんじゃない?」


//主人公、見飽きることはないと返答して。


「そっかー。それはまじで嬉しいよ」


//ふたり、しばらく沈黙。

//波の音がよく響いている


「……もうすぐ日が沈むね」


「日が沈んで……月がやってくる」


「……満月が」


「今日は、君が現世に帰れる最後の日になるかもしれない」


「本当に後悔しない?」


「現世を捨てて、ニライカナイであたしと一緒に生きること」


「……覚悟してる、か。ふふっ、あんたらしい真面目な答えだね」


「……あっ、お月さま」


//輝く満月が出る

//水面に、月明かりが道のように映っている


「………」//イサナ、主人公に身を寄せる


//主人公、イサナを抱き寄せる

//やがて、月が沈み、また陽が昇るころになり

//朝がやってきた


「(ぽつりと)幸せだなー……」


「ねえ、ピ」


「現世にいた頃よりも、ずっとずっと幸せな日々を過ごして行こうね……」


「愛してる」


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ギャルみのある海の神様が、溺れた俺を優しく抱きしめて癒やしてくれるだけのASMR(コンテスト書き下ろし作品) 伊勢 @sakura_ise

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