Episode:8 海の見える露天風呂にて(お風呂/コンディショナーとマッサージ)③



「あんたの頭、シャンプーでいい匂い……♪」


「今から仕上がりが楽しみだな~」


「さてと。今度はすすいでいくよ」


//蛇口をひねる音


「シャンプーの洗い残しは厳禁! 頭皮にダメージが残っちゃうからね」


//シャワーの音(弱)


「『お客さん、かゆいところはございませんか~?』」


「……ふふっ。この前ドラマで観た、美容師さんのマネだよ」


「あたしが現世にいた頃には美容院なんてなかったから、完全にイメージだけどね」


「でもさ、ふと疑問に思ったんだけど……」


「『かゆいところはありませんか?』って聞かれて……」


「『かゆいです!』って答えるひといるのかな?」


「自分でシャンプーしてて、『かゆいな~』って思うことなかなかなくない?」


「……よし。そんな風にどうでもいい話をしているあいだに、すすぎ完了です」


//シャワーの音(弱)ここまで

//蛇口をひねる音


「ちゃんと綺麗になりました♪」


「あ、これで終わりじゃないからね。次はこれまた特別製のコンディショナーだよ」


「傷んだ髪を保湿しつつ、軽く頭皮をマッサージしてあげる」


「このコンディショナーもさっきと同じくシトラス系!」


//イサナが自分の掌にコンディショナーを広げる、くちゅっとした音


「コンディショナーをつける時は、毛先を重点的にね」


「……うん。こんなもんかな」


「じゃあ、マッサージしていくね」


「………」//指先に力を込める時に、息が出ている


「……なんかあんた、頭皮凝りすぎじゃない? めっちゃ硬いんですけど」


「さては長時間、同じ姿勢になってるでしょ」


「そーゆーの、血流が悪くなってやばいんだってば!」


「現世でどんな生活してたか知らないけどさー、ちゃんと適度に身体は動かしなね?」


「今回は、あたしがコリをほぐしてあげるけどさ……」


「指先にぎゅっと力を込めて……もみもみ……もみもみ……」///独り言のように


「………」//真剣に 


「……はぁ~! 指が疲れたあ!」


「でもこれで、だいぶほぐれたんじゃない?」


「……うん。さっきよりはマシ」


「じゃあ次は、老廃物をリンパ節に向けて流していくよ」


「首を通って、デコルテまで……」


「ぐいっとな……」


「うん。いい感じ♪ あんたも頭が軽くなったんじゃない?」


「………」//主人公が肯定するのを待っている間


「ふふっ、それはよかった! 体力使った甲斐がありましたぜ」//ふざけた口調で


「さてと。マッサージも終わったし、コンディショナーを流していくよ」


//蛇口をひねる音

//シャワーの音(弱)


「……すごっ、指通りなめらかじゃん!」


「乾かしたらぜったいいい感じになると思う」


「雰囲気イケメンぐらいにはなれんじゃない?」


「……やだなあ、褒めてるってば!」


「さてと、髪は洗い終わったよ。お疲れさまでした~」


「あとは湯船につかって、ゆっくり疲れを癒やしてね!」


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