第5話 新たなるマップ

4レベルにアップした俺達は新たなるマップ【ルグラ沼地】へと向かうことにした。




ルグラ沼地は、はじまりの草原(魔王領)とは真反対の位置に存在している。はじまりの草原はアルグスの町の北門から出た場所にあるので、ルグラ沼地は南門から出た場所にあるというわけだ。




「相変わらずでけぇなあ~」




南門の目の前まできた俺達は相変わらず大きい城門に感嘆した。城門は自動で開くようだ。どういう仕組みなのか。自動ドアみたいなものなのだろうか?にしても凄い技術だ。




「それじゃあ行こうか」


「おう!」




ルグラ沼地は、はじまりの草原よりも少し蒸し暑い。気温は3℃程度の違いだが、湿気が段違いだ。天気は曇り。日が照っていないだけマシだと言えよう。




しかし、沼地と言いながら沼の部分よりも大地の部分が多い。しかも沼はかなり浅いので水生生物は住んでいないときた。名前負けしてるな。うん。




俺はメニュー画面から『マップ詳細』を選択した。新しいマップに来たときは欠かさずにおこなっているルーティーンだ。何も知らないまま敵に突っ込むのは愚策だからな。




ーーーーー




【ルグラ沼地】


・出現モンスター


・マップ表示


・詳細




ーーーーー




『マップ表示』を選択すると、自分の視界の右斜め上に小型のマップが表示された。三センチ×三センチくらいの大きさだ。一応、拡大化と縮小化が可能らしい。




俺は戦闘の邪魔になりそうなので、マップの大きさを一ミリ×一ミリくらいに変更した。見たい時に拡大化すればいいのでこれくらいの大きさでも大丈夫だろう。




次に『出現モンスター』の項目をタップした。




ーーーーー




・ゴブリン


巨大蛙ジャイアントフロッグ


・魔女見習い《ローウィッチ》


・スライムロード




ーーーーー




出てくるモンスターは四体みたいだ。ちなみに強さ順に並んでいる。一番弱いのは『ゴブリン』で、強いのは『スライムロード』だ。最高レベルは10らしい。4レベルの俺達には到底倒せそうもない。とりあえず一番弱い『ゴブリン』から倒すべきだろう。




「とりあえず一番弱いゴブリンから倒すべきだろうな。二手に分かれて行動しないか?そっちの方が効率いいと思うし」


「だな!じゃあまた一時間後に集合でいいか?」


「了解。見当を祈るよ!」


「イングストこそな!」




そう言って俺達は二手に分かれた。数分歩いているとゴブリンの群れを見つけることができた。合計で5体だ。4体が木の棍棒を持ち、1体が弓矢だ。




ゴブリン自体の強さはスライムに毛が生えた程度だ。実際は『人喰いマンドレーク』よりも弱い。しかし、それは単体でのことだ。複数体になると『人喰いマンドレーク』よりも大幅に厄介になる。弓矢を持っている個体がいたら余計に厄介だ。遠距離からの攻撃は、対抗する手段がなければ一方的になぶり殺されてしまう。




「まあ俺には魔法があるんだけどな。『火炎球ファイアボール』!」




俺は杖の先端から発生させた炎を弓持ちのゴブリンに放った。見事に着弾し、ゴブリンが炎に包まれた。




「ぐぎゃあああ」




炎が着弾したゴブリンが消滅した。残り4体。




「ぎゃああ」




残ったゴブリンが棍棒を振り上げてこちらに向かって走ってくる。




「『火炎球ファイアボール』!」「『火炎球ファイアボール』!」




続けざまに二回、火炎球を放ち二体のゴブリンを消滅させた。残り二体。




「ぎゃああ!」




ゴブリンの振り上げた棍棒がこちらに迫ってくる。魔法を放つ余裕はなさそうだ。




「おりゃああああ!」




俺は迫ってくるゴブリンを杖で薙ぎ払った。ゴブリン達はノックバックし、態勢を崩した。




「『暗黒弾ブラッディボール』!」


「ぐぎゃあああ」




二体のうち一体を魔法で消滅させた。残りの一体が態勢を立て直してこちらへと迫ってくる。




「よし。魔法で・・・・うわっ!」


「ゲコッ!」




魔法を放とうと杖を構えた瞬間、ピンク色の長い物体が杖に絡みついてきて魔法が放てる状況ではなくなってしまった。




「『巨大蛙ジャイアントフロッグ』か!?じゃあこれは舌だな・・・」




俺は杖での魔法発動を諦めると同時に、杖を手放した。杖は舌によって口元まで運ばれ、蛙が食べてしまった。




「結構高かったのによ!『暗黒弾ブラッディボール』!」




俺は近づいてきていたゴブリンを右手の魔法で消滅させると同時に、左手にも魔力を集中させていく。




「『火炎球ファイアボール』!」




放たれた魔法は蛙の胴体に直撃し、大きな爆発が発生した。




「ゲコッ!」




しかし魔法だけでは倒せず、蛙が舌を伸ばして体に巻き付いてきた。




「離せよ!『魂喰らい《ソウルイート》』!」




そうして俺の右手からゆっくりと放たれた紫色の光線は蛙に直撃し、絶命させた。蛙が青白い光に包まれて宙へと消えていった。




「ふう。危なかった」




ほっとしたところでレベルアップ音が立て続けに三回鳴った。どうやらレベルが7まで上昇したようだ。俺は急いでメニュー画面を開き、『ステータス』の確認を行った。




ーーーーー




イングスト 悪魔族




レベル:7


二つ名:なし


体力:25→40


攻撃力:22→37


守備力:22→37


素早さ:27→42


魔力:45→60


MP:35→50


SP:30→45




スキル:魂喰らい《ソウルイート》、早熟、マップ解放


魔法:火炎弾ファイアボム暗黒砲ブラッディカノン




ーーーーー




「魔法が進化してる!」




このゲームでは魔法は進化するものであり、進化前の魔法は進化の際に一切使えなくなる。不便な点も多いが、進化後の魔法の方が性能がいいのであまり文句も言えないだろう。




今回は火炎球も暗黒弾も両方進化していた。ラッキーだ。




しかし、『魂喰らい《ソウルイート》』が強すぎてゲームバランスを崩壊させている気がする。本来もあの蛙はレベル7とかだ。それを一撃とは凄まじい・・・




「今頃ケルト何やってるかな?」




その頃ケルトは『スライムロード』との激戦を行っていたことを知るのは、しばらく先のことだ。

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