第16話下る
この坂を下ると、君の家が見えてくる。
赤い屋根の一軒家。
ここに僕の好きな君がいる。
ここで育った君は、賑やかな7人家族。
対する僕はおとなしい3人家族。
相対することが多くて、戸惑ってばかりだけど、それでも僕はこれから先も君と一緒にいたいって思う。
ふと気付くと、金木犀の甘い香りが鼻を擽った。
瞳を向けた先に、黄色く細かい花を咲かせる、僕よりも高い木が出迎えてくれる。
「よし、きちんと挨拶をして、それから……言うぞ!」
僕は自分に密かに気合いを入れ、玄関の前に立つ。
けど、やっぱり不安だったから、思わず
「扇さんを……僕に……下さい!」
と、一言練習してみた。
その瞬間、“はい!”という驚きの声が入ってきて。
振り向くとそこには、ピンクの薄いセーターに身を包んだ君がいた。
一応お仕舞い☺️
令和3(2021)年11月8日12:09~12:34作成
Mのお題
令和3(2021)年11月8日
「坂道の途中で」
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