第12話いつからそういうものを?

「め、珍しい!」

「うるさいぞ、普賢……」

「望ちゃんが朝から本を開いてる」

「開く姿がそんなに珍しいのか?」

「……うん」


 こんな他愛ない会話をしているのは、高校生の縹宝ハナダタカラと、釈迦如来の脇侍をしている普賢菩薩だった。


 何故、普賢が彼の勤勉姿を見て笑ったのか。


 それは勉強しているところが体育館、しかも時間が朝6時半だからである。


 普段は朝7時から7時半に学校に着き、同じように早めに来たクラスメイトと雑談するのだが、今日の宝は普段と何か違う行動していた。


「ねぇ、何を読んでるの?」


 興味津々で覗き込む普賢を、無言で牽制する宝。


 何度目かを牽制を上手く躱した普賢が見たものは、目を疑う光景モノだった。


「えっと……」


“恋愛小説……望ちゃんが?”と訴えている彼の瞳は、完全に笑っていた。


お仕舞い🐱


令和3(2021)年10月11日12:10~12:30作成


Mのお題

令和3(2021)年10月11日

「朝読書」




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