第4話 帰路

放課後。

学校からの帰り道。

後ろからついてくる清水さんの気配を感じながら帰路へ着く。

これが最近の日常だ。

おかしくない?ともって清水さんに声をかけたことがあるが、人から見えないようにしていたらしい清水さんには驚かれるし周囲の人には独り言を言っている変な人に思われるし散々だった。


そのため無視。

無視を決め込むことにしている。

いつかは飽きてどこかに行くだろうし。

今日はすこし遠回りして行こう。


そう考えた司は家路とは少し違う方向に足を向けた。


◇◇◇◇


司が向かったのは近場の神社の裏手。

そこからは町全体を見渡すことができ、人間の社会がいかに小さなものかが認識できる。


「僕、ここ好きなんだ。なんか自分の悩みとか人間関係がちっぽけなものだっておもえてくるからさ。君と共有したくて。」


聞いていないかもしれないが、葵に声をかける。

彼女とはもっと話をしておきたかった。


「……どうして、そんなに私にかまうの?」


後ろから葵の声が聞こえる。

司は振り返らずに答えた。


「清水さんが僕のことを監視するっていうからさ。一緒にいるならなるべく仲良くなりたくない?」


「何を言っているの…あなたはただの監視対象。それ以上でもそれ以下でもないの。」


「はは、そっか。それでも僕は君と仲良くしたいから。これからよろしくね。」


(なにこいつ、ふつうは監視されるって聞くだけで嫌だという人がほとんどなのに…)


「でも、僕はいつでも話し相手になってくれる清水さんは好きだよ。寂しくないし。家でも一人じゃないって思えるんだ。」


「―――ッ!?」


なんなんだこの男。

いちいち私の思考を乱す。


――――ガサガサッ!!!


司が後ろを振り返ると茂みから何かが飛び出してくるところだった。


「こいつは…下級悪魔。でもどうしてこんなところに…新藤くん、私の後ろにいて。」


その下級悪魔は真っ黒な化け猫のような姿をしていた。

地上種に紛れ込むことができるように地上種の姿を模す魔族種が多いのだ。


中級悪魔程度なら容易に倒せるはずなのだが、先程の司との会話で動揺している葵はうまく脳のリソースを戦闘に割くことができないでいた。


(うまく権能が使えない…ちょっとまずいかも。彼だけでも逃がさなきゃ。)


「新藤君、ここは私が何とかするから逃げ…て?」


見ると司が下級悪魔を撫でまわしていた。


「よーしよしよしよしよし。かわいいねぇ、かわいいねぇ!普通猫たちは逃げていくのに君は逃げずにかまってくれて僕うれしいよ!」


「なに…してるの?」


「何って猫を撫でまわしてるだけだよ。かわいいねぇ~」


悪魔が彼を襲わない。

なぜ?なぜ彼はあんなにも悪魔になつかれているの?

地上種が悪魔に好かれるなんてありえないはずなのに…


ここに猫の悪魔を撫でまわす男とその横で腕を組み悩む天使の構図が出来上がったのである。


「新藤君、それが何かわかってるの?」


司は何を言っているんだという顔をして


「猫じゃないの?」


と返す。


「違う。それは猫じゃない。それは魔界に住まう悪魔。それも下級悪魔。上級悪魔ほどではないけれどその悪魔一匹で地上種なら10人は死ぬ。そういう存在。」


「え、この子そんな力あるの?すごいねぇ!かぁいいねぇ!」

完全に顔と脳が溶けているデレデレした顔をしている。


「そう。だから今すぐ離れて。駆除しなきゃいけない。」


「駆除ってそんな!こんなにかわいいのに?」

猫悪魔と司はウルウルとした瞳で葵を見つめる。


「ダメなものはダメ。悪魔を駆除するのは天使の仕事。悪魔はみな等しく悪なんだから。駆逐しなきゃいけない。悪魔がみんないなくなったらあなたも平和に過ごせるの。だから、そいつを私に渡して。」


「やだ。」


「はぁ…やだでは済まないの。新藤君はその子が人を殺したら責任はとれるの?取れないでしょ?だからダメなの。」


悪魔は、小型の下級悪魔であっても地上種では駆除することができない。

以前バッタの下級悪魔が単体で一つの村の地上種を全滅させてしまったという記録がある。

それぐらい魔族種は地上種にとって脅威なのだ。


「大丈夫だよ。僕の体は丈夫だから。」


「丈夫だとかそういう話じゃない。あなた普通に死ぬのよ?」


「でも清水さんが見ててくれるんでしょ?なら大丈夫じゃん。」


「そうだけど…」


葵は(本人的にはなぜか)少しうれしく思いながらも司にそう返した。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

混☆沌

やはりカオスはすべてを解決する。

ということでねこちゃん要素でした。

かわいいね、ねこちゃん。

最近野良を撫でまわすのがすごく楽しい。

片方はあまりなついてくれないけどもう一匹はほぼ無抵抗で撫でられてくれてかわいい。

ついつい吸い付きそうになるので抑えるのが手一杯です。


葵の言葉遣いの統一感がない…


更新が遅れているのは筆が乗らないからとリアルが忙しいから。

展開は考えているのにそこにつなげる方法が難しいですネ。

伏線とかそんなの考えるのが…

頭死んじゃう…


今更ですが葵に「新藤君」と呼ばせるんじゃなくて「あなた」とかにしておいたほうが距離感とキャラ的に会うのかなとか思ってます。


更新は遅いですがよろしくお願いします。

もしかしたら書き直しがあるかも??

そのときはお付き合いください。

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