第12話

ある病院の一室である医者と母は話をしていた。



「落ち着いて聞いて下さい。娘さんはいつ死んでもおかしくない状態にあります。」



医者は申し訳なさそうに見える顔をする




「そんな…何とかならないんですか!先生言ってましたよね!まだ暫くは安泰だって!」



「予想以上に病気が早く進行しています…」


「お金はいくらでも払います!あの子はま

だこれからなんです。…死んではいけないの。」



黙って首を振る医者と

涙を目に溜めて、手を震わせている母。


「確実に約束できることは我々は娘さんが助かるために、手を尽くすことです。」


「でも、生きる確証はないんでしょう!?」


「それなりの覚悟はしておいてください。

…娘さんへの説明はどうなされますか。」



その決断は親娘にとって、家族にとってあまりにも酷なものだった。


「…私の口から説明します。」















歯車が一つ、狂い出す。




それはまだ誰も気づかない。


でも確かな変化だった。




母にとっても、娘にとっても、

ある少年にとっても。


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