第十話ー影響ー

海里たちは、ただの勇気ある人物として捉えられていたり、やばいやつと噂されていたりした。しかし当の本人は気にせず、いや気にしてる暇がなかったのか。全く聞くことなかった。

ある日、二人に魔の手が伸びる。

ノートを盗んだ人物が、心子と海里と由菜で喋っていた時に急に近づき、

「お前ら邪魔」

とだけ言い横に蹴飛ばした。海里は少しふらつくだけだったが心子に対する当たりが強かった。横に吹っ飛ばされたかと思うと首を絞められ、羽交い締めにされていた。

「心子!」

由菜と海里が立ち上がり、助けようとした。が、由菜は背中を蹴られ、海里は腕を掴まれた。どちらも床に倒れ、押さえつけられた。

「海里!由菜!」

心子が叫んだ。この声でクラスメイトや近場にいたものたちが一斉に異変に気づく。駆けつけようとしたが全員脅され、それを超えても机のバリケードがあっという間に作られ入れなかった。

海里は肩を押さえつけられていただけだったので

「心子!」

と叫び返した。が、由菜の応答がない。

「由菜!」

何度呼んでも応答がない。海里が這いずって近づくと、彼女は気絶していた。心子から見ると頭から血を出しており、無造作に左手が斬られていた。切り傷だったが、深かった。

「海里!後ろ!」

海里の後ろに振り下ろされた棒があった。海里は振り向き、蹴りを一発加えた。棒を持っていた本人はよろけたが棒は飛んでいった。ものすごい速さで飛んでいき、壁に跳ね返ったかと思うと由菜の頭に当たった。流石にスピードは落ちていたが、それでもダメージを負った。海里はその後に顎を蹴られ、気絶した。泡を吹き、耐えていたがそれも虚しく意識を失った。心子は廊下に投げ出され、壁に背中を打つ。かろうじて息をしていた。この中で、心子だけは事件の全てを俯瞰的に見ていた。

この騒動は学年中に広がり、すぐに学校中に広まった。

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