第三話ー事実ー

この噂が回り、事態は急変してしまう。

ノートを見つけることに関しては何も難航することはなかった。そう。彼女本人の問題が回ってしまっていたのだ。そのノートの中身は、彼女以外誰も見たことがない。"そのはずだったのに"後悔が、何度もこの後襲うことになる。

窃盗の犯人が、中を見てしまったのだ。そこには彼女の痛い気持ちが文字に乗せられて描かれていた。全く関係ないものもあったが、日付を見るとノートが使い回しのものだとわかった。「A」「B」「S」そして「歌詞メモ」この言葉で彼らは確信したのだ。

「こいつは歌詞を書いてる」と。途端、そこは笑いに包まれた。

「こいつアホやん」

「マジでゴミ以下やな〜」

そう、信頼はここで消える。彼女も、彼も。

この噂が本人の耳に入って来るのにも、そう時間はかからなかった。

"え…?"彼女が聞いたのは、事実だった。彼らはSOSと捉えず、ただの遊びだと思っていたようだ。意思のままに読み取ったが、1番中心まで読み取らない。一部事実よりも軽く言われていたところもあった。結局何も撃つ手のないまま、悪い噂のみが広がった。

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