第21話「次の目的は」


 

■■それから、少し経って■■




 庭の水汲み場で顔を洗うと目の周りが少し沁みた。


 

「ターナカ、タオルです。お顔を拭ってください」

 

「うん、ありがとう。いやあ、泣いた泣いた。ごめんね、情けないところを見せて」


「そんなことはないですよ、むしろ子どもみたいでかわいらしかったです」


「なにその余裕のある反応。なんかくやしいな」


「私、嬉しかったですよ。ターナカが言葉としてちゃんと気持ちを伝えてくれることはこれまで滅多にありませんでしたし」


 

 僕は受け取ったタオルで顔を拭く。


 シアさんの方を見ると、彼女はいつものように背筋を真っ直ぐにして隣に立っていた。



「それじゃ、シアさん。まずは君の【魔力詰まり】を治そうか」


「ええ。それが次の『目の前のこと』ですね」


「うん。まあ、前例は聞かないではないし、どうにかなるだろ」

 

 

 彼女は深々と頭を下げた。


 

「――どうかよろしくお願いします」



 

▲▲~了~▲▲

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