家財売り着物も売れどあのひとに付いた値札はそれでも足りぬ


藪医者の下げる頭を殴りたいきみは治らぬ殴ったところで


金がない金がないない金がない後生だ友よ金がないのだ


我想う友失いし黄昏の握りしめたるきみの命を


きみの火がただ一日も伸びるならけれどこれではどうにもならぬ


医者笑う金目のものがまだあると確かに肺はふたつも要らぬ


を歩き片肺の息絶え絶えで闇に見えたる畜生の道


れは云うその重たさを知らぬのか知っているから奪って奪う


へまをした腹の風穴ふうけつ流るる血あのかんばせがきみに似ていた


海砂利に打ち寄せる波生と死をさらえばきみに逢える気がして

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それにつけても金の欲しさよ 逢坂 新 @aisk

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