最終話 恋人

僕に偶然の幸福が訪れるようになってから少しの時間が経過していた。

相変わらず白樺風は僕に自分の下着を見せつけてくることをやめなかった。

しかしながら最近はほぼふたりきりの状況を見計らってその行為をするようになっていた。

この間、坂倉にバレかけてしまったため警戒してのことだろう。

白樺風との関係はそれ以上に進んでいることはない。

胸を揉まされたことはあったがそれで恋人になるようなことはなかった。

しかし放課後や休日に遊びに行くことはあった。

それでも関係が先に進まないのは僕が臆病だからかもしれない。

少しの勇気を振り絞って僕は彼女に問いかけようと思うのであった。


放課後に街を訪れると白樺風に問いかけてみる。

「まだ僕に興味あるの?」

何とも恥ずかしい質問である。

もっと気の利いた質問はできなかったのだろうか。

もしくはここで告白をしても良かったのかもしれない。

それなのに僕は未だに尻込みしていた。

「あるよ」

彼女の端的な答えを耳にして胸は高鳴るのだがそれ以上前に進むことが出来ない。

「そっか…ありがとう」

そんな何でも無い言葉を口にすることしか出来ずにいると白樺風は少しだけ呆れたような表情を浮かべた。

「自分に自信なさすぎじゃない?」

そう言われて僕は自分自身を少しだけ情けなく感じる。

「そうかもね。白樺さんに好かれているなんて思えないから」

「好いてないのにパンチラなんてすると思う?そんな痴女だと思われてるの?」

「いや…それは…」

そんな答えを口にすると彼女は正直に僕に気持ちを伝えてくる。

「好きだよ。初めて他人に興味を持てた。嶋くんのこと好き」

真っ直ぐに僕に向き合う彼女に自分の気持ちを伝えようとしていると…。

「嶋くんと風ちゃんだ。やっぱり二人は仲良いの?」

突然現れた坂倉の存在によって僕らの会話はそこで途切れてしまう。

「坂倉さん。そうね。私達は仲良しよ」

白樺は何でも無いように事実を口にすると坂倉を追い払おうと続けて口を開く。

「ちょっと今良いところだから…あっちに行っててもらえる?」

「それは無理。話を聞かせてもらっていたけれど嶋くんを狙っていたのは私が先だから」

「じゃあ嶋くんの答えを聞きましょ?」

「そうね。どうなの?嶋くん」

彼女らに問い詰められて僕は言葉に詰まってしまう。

自分の人生にモテ期がやってくるなど思ってもいなかったのだ。

「そうですね…仲が良いのは白樺さんだと思います」

そんな何とも言えない答えを口にすると彼女らは呆れたように嘆息する。

「どっちと付き合うの?」

その質問に僕は頭を悩ませると白樺風を指さした。

「はい。答えは出たのでさようなら」

白樺は坂倉に向けて手をふる。

坂倉は苦し紛れに負け惜しみのような言葉を口にする。

「二人が怪しい関係だってみんなにバラすから!それが嫌なら私と付き合って!」

坂倉の言葉に呆れたような表情を浮かべる白樺。

僕は坂倉と向き合うと口を開く。

「坂倉さんはそんな事しないって知ってるよ…。今までだって気付いていたのに黙ってくれてたでしょ?僕を好きになってくれるぐらいだし悪い人じゃないって分かってる。そんな自分の価値を落とすようなことは言わないで…」

僕の言葉を耳にした坂倉は少しだけ涙を浮かべると悔しそうな表情を浮かべてその場を後にする。

ふたりきりになった僕と白樺は若干の気まずさに包まれる。

「じゃあ付き合うのね?」

彼女の言葉に僕は深く頷くと僕らは晴れて恋人になるのであった。


そうして僕の身に偶然訪れたチャンスを掴んだことにより人生で初めて恋人ができた。

いつだったか僕は風に問いかけたことがあった。

「どうして僕に興味を持ったの?」

その質問に彼女は何でも無いように口を開く。

「なんだろう。私と同じように他人に興味がなさそうだったから意地でも振り向かせてみたかったのかも。初めはそんな単純な理由だったよ」

「僕…他人に興味なさそうだった?」

彼女はそれに深く頷くと嬉しそうに微笑んだ。

「まぁ今でも私以外の人間には興味ないみたいだけど」

「お互い様じゃない?」

風はそれに笑顔で頷く。

恋人である白樺風と末長く付き合い続ける未来で僕らはいつまでもお互いにしか興味を示さないのであった。


                 完

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男子に興味のない清楚なクラスメートが僕にだけパンチラをしてきて誘ってくるんだが… ALC @AliceCarp

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