第32 レイラさん


 ・・・私はレイラ・・・


「レイラ。」


 ・・・初対面で呼び捨て・・・


「あ、ごめんなさい。」


 ・・・まあ、いい・・・


 危ない、女性の機嫌を損ねるのはまずい。それにしても綺麗な人だな。何でクリスタルの中にいるんだろう。


「あのー、聞いてもいいですか?」


 ・・・なんだ?・・・


「何でクリスタルの中にいるんですか?」


 ・・・説明すると長くなる・・・

 ・・・簡単に言うと封印された。・・・


 封印!?レイラさん危険な人なのか?


「あのー」


 ・・・キア、話したい事は沢山あるが、もう時間が無いんだ・・・


「時間がない?」


 ・・・上を見ろ・・・


「え?!水が降ってきてる?」


 ・・・ここはある湖の底なんだ・・・


 湖のそこにダンジョンがあったのかよ。うわ。水が一気に入ってきた。やばい。このままだと死ぬ。


 ・・・時期にここは沈む。逃げろ・・・


「レイラさんは?」


 ・・・私はこのまま沈む運命だ・・・


何度も助けてくれた恩人を見殺しにはできない。というかこんな美人を置いて逃げる訳にはいかない。もう逃げるのは嫌だ。


「レイラさん。このクリスタル壊していいですか?」


 ・・・壊せぬ。相当な魔力がないと無理だ・・・


「大丈夫です。僕神童ですよ。」

全部の力を込めて、壊す。習ったばかりで上手くできるかわからないけど。俺が持ってる全ての魔料で刀を作る。

 バキバキ、これが限界の強度か。この刀で居合をする。一発勝負だ。全力で行く。


「レイラさん。必ず助けますね。」


 ・・・馬鹿、魔力切れで逃げれなくなるぞ・・・


「知りません。その時はその時です。」

「氷河一線」

 左の腰から、抜いた氷の刀を一気に振り抜いた。


 バギィ、バキ、パキン!!!

 やばい、魔力切れだ。立ってられない。クリスタルは??

「キア」


 綺麗な声。レイラさんか?

 ああ、クリスタルが割れてる。やったか。

 いや、完全には割れてない。

「レイラさん」

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