第31話 星空の髪


 ・・・よく来たな・・・


「え」

 この声、クリスタルの中から聞こえる。じゃあ、俺を助けてくれて人はクリスタルの中にいる人なのか?


「あなたが、僕を助けてくれたんですか?」


 ・・・そうだ・・・

 

 俺は無意識にクリスタの前まで足を運んでいた。そして、不思議な声に返事せずにただクリスタルの前で棒立ちをしてしまった。


 ・・・おい・・・

 

 え??クリスタルの中を見た瞬間に俺は固まった。理由はクリスタルの中にいる女性があまりにも美しかったからだ。

 

 髪は長く星空のような色をしている。目元は少しきつそうだが、何となく優しそう。瞳は青空のような色をしている。20歳ぐらいかな。

 あと、一点不思議だったのが、クリスタルの中なのに何故か表情だけは動いていることだ。


 ・・・聞いておるのか・・・


 なんで、クリスタルの中なのに表情は動くんだろう。てか、なんでクリスタルの中に人がいるんだろ?


 ・・・いい加減に返事をしてくれ・・・・


 ああ、やばい。見とれて無視してしまった。


 「あ、すいません。」


 ・・・おお、やっと返事をしたか・・・


「あなたが、このダンジョンに来るたびに話しかけてくれていたんですか?」


 ・・・そうだ・・・


「助けてくれて、ありがとうございます。」


 ・・・ああ、気にするな・・・

・・・・しかし、なぜ、そんなに私を見るんだ?・・・


「いや、綺麗だなと思いまして。」

 あ、ストレートに言ってしまった・・


 ・・・・え・・・・


 あれ、何か顔赤くしてるな。喜んでる?


「いや、だからですね。お姉さんがあまりに綺麗で見とれてたんですよ。」


 ・・・はぁ!?・・・

・・・・そんな、恥ずかしくないのか?!・・・


「思ったこと言っただけなので別に恥ずかしくはないですね。」

 めっちゃ喜んでるな。


・・・話を戻すぞ!!・・・


 あ、照れて強引に話を変えようとしてる。まあ、いいか。聞きたい事も沢山あるし。


「自己紹介がまだでしたね。僕はキアと言います。」


 ・・・私は、レイラ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る