第29話 絶望

「よお、神童久しぶりだな。」


 コイツ、間違いない。あの時のフレアー家の子供だ。あの日以来会うことは無かったけど、あの目は間違いない。


「お前、あの時の子供だよな。」


「やっぱり、覚えてたんだな。普通の子供は2歳の頃の記憶なんかないんだよ。転生者で間違いないな。」


「お前何者なんだ?」


「答える義理はない。逆に聞くがお前なぜあの時死んでいない?俺の魔法を喰らった瞬間に消えたよな?」


 ん?あいつがダンジョに飛ばしたんじゃないのか?何か話がおかしいな。ここは軽く合わせるか。


「さあな、答える義理はない。」


「ふん、まあいいここで消える存在だ。」


「みんなはどうした?アイスは?」


「知る必要はない。」


 屋敷の方はどうなってるんだ。クソ


「ふざけるな」


「坊ちゃん、ダメです。逃げてください。」


「うるさい、ジジイだな。消えろ。」


「やめろ!!!」


 黒い圧力??

「じい?おい、じいはどこ行った?」


「押しつぶされて死んだんだよ。他の奴らと同じようにな。」


「いい加減にしろ」

 コイツは絶対殺す。何か何も考えられなくってきた。コイツを殺す、コイツを殺す。全力で。


「ふん、お前では無理だ。落ちろ。」


「お前が消えろ。」


 魔力が一瞬ぶつかったが、相手の方が圧倒的だった。

 結局俺は無力のまま死ぬのか。


 ※※※※


「え、ここって。ダンジョン?」

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