第17話 必要なものは?

父上に負けた。しかも完敗だ。正直、互角とは言えなくて少しは奮闘できると考えていただけにショックが多き。

 結局自分は、格下を相手にしていただけの「井の中の蛙」であった訳か。


 負けて悔しい気持ちはあるが、収穫も大きいものだった。それは魔法はやはり何かを特化させないと器用貧乏になってしまうということだ。

 俺は基本的な魔法は全属性使える、これは一見凄いことにように感じるがそうではない。格下には通じるが、父上のような格上と戦うときには、全く意味がないことが分かった。

 例えば、「サンダーボルト。」これは雑魚相手なら、かなり有効な技になるが父上の対しては、剣の一振りでかき消せる魔法であったということだ。もしこれが熟練された雷魔法なら、そ

 簡単に弾くことはできないはずだ。つまり、技に重みがないのである。

 

 課題は見つかった、これからやるべきことは「技を絞って極めることだ。」

 剣術や体術もそうだ、色んな型を身に着けたが結局重みがない表面上の物になってしまっている。


 ******戦闘終了後******


「キア、やっぱりお前強いよ。さすが神童だな。」


「嫌味ですか、まともに攻撃入れらてないのに。」


「悪い、悪い。嫌味で言った訳ではないんだ。」


「え?」


「俺、これでも国の5本の指に入るぐらいの実力者なんだぞ。その俺相手に魔法はなしとは言え、一発殴ったんだ。誇りに思えよ。」


 あれって、あえて食らった訳ではないのか??


「でも、ダメージないじゃないですか。」


「それは、そうだな。でも実際俺に拳が届いたのは事実だろ。」


「はい。」


「じゃあ、もしキアの一撃がもっと強くなっていたらどうだろ?」


「それはダメージありますよね。」


「そうだ。だからキアに足りないのは技の威力だ。逆に言うと読みとか作戦はセンスがあるということだ。」


「ありがとうございます!」

 負けたが、課題も見えたし、何より父上に褒めてもらった事が嬉しかった。



「キア、話は変わるんだが、最近物騒な事件が起きているのを知っているか?」


「物騒な事件ですか?」


「そうだ、国の重要な人物が数人殺害されている。」


「え、そんな事が起きているんですか?でも、そんな話聞かないですよ。」


「ああ、表にはまだ出ていない。」


「なぜですか?」


「まず、この話を表に出せば庶民が不安になり治安が乱れる可能性が高い。第二犯人が貴族の可能性があり、その場合内乱になる可能性もあるからだ。」


随分物騒な事件が起きているな。


「キアも気を付けて行動するんだぞ。」


「はい。」


「さあ、屋敷に戻って食事にしよう。」

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