第16話 決着

 ああ、渾身の魔法がかき消されるなんて。

 やっぱり、父上強いな。本当に殺す気で行かないと一撃入れられないかもな。


 「サンダーボルト。」

 

 「同じ技は無駄だよ。」


 同じ技だけど用途が違うんだよ。俺のサンダーボルトをはじく瞬間に隙ができる。

 そのすきに剣で攻撃する。


 予想通り、左下から右上にはじいた。チャンスだ。

 振り上げた剣をそのままの軌道で戻す場合、懐に入りこまれている時には切れない。

 逆に手首を返して、振り下ろそうとしても遅い。


 もらった!!


 「甘いぞ。」


 「え。」


 足裏で剣を止められた?!


「キア、読みは良かったが実践はそんなに甘くないんだよ。」


 バゴォ。鈍い音がした。


 痛たい!!あの体制から左腕で殴られた。どんな体感しているんだよ。

 威力おかしいだろ。

 やばい、息ができない。ボディを思い切り殴られた。


 追撃が来る、まずい。


「リフレクト。」


バキン。父上の剣と俺のバリアがぶつかった。


「ほおぉ、いい守りだな。俺の剣を止めるか。これはどうかな?」


 なんで剣を左腕に持ち替えてるんだ。え?

 次の瞬間バリアが砕けた。そう、右腕で殴って壊したのである。

 貴族の戦い方じゃないだろ・・・


「終わりかな、神童。」


 父上の剣が右から左に振られ、俺に当たりそうになっている。


「終わりではないですよ。父上。」


「術式魔法。アルテミス」


 地面に仕掛けられた、術式が相手の間合いに入ると発動する魔法だ。

 準備が必要な分、かなり強い魔法だ。


 父上の両腕が拘束されて、剣が止まった。


 先ほど殴られた時に、剣を落としてしまったので拳に雷をまとわせて一撃殴った。

「これで、どうだ!!」


 パリン。


 父上の顔面に、雷の拳を一発入れた。

 しかし、勝負は父上の勝利。


 俺のパンチは聞いておらず、俺の首元には剣があてられていた。


 「勝負ありだな、キア。」


 「完敗です。」


 少しショックだった、ここ数年この敗北の感覚を忘れていた。

 やはり、敗北は嫌だ。大切なものを失う感じする。


 それと同時に、父上の偉大さに改めて気が付いた。

 

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