第15話 父上

 俺は今日久しぶりに、父上と剣の稽古をする予定になっていた。

 自宅の中庭で、訓練する事になっている。


 「父上遅いですね。


 「そうね、あの人何をしているのかしら。」

 ママが見学に来ている。


 「キア待たせたな。」


 「遅かったですね、って。え?何で真剣を持ってるんですか?」

 訓練はいつも木でできた剣で行うため、基本的に真剣は使わない。

 

 「キア、俺と訓練するときに真剣で戦ったことないよな?」


 「そうですね。」


 「こないだ、ドス・ゴブリンを倒したそうだな。」


 「はい。」


 「ここ最近、本気で誰かと戦ったことあるか?」

 とんでもなく、痛いところを突いてくる。正直ここ数年、本気で戦った記憶がない。

 訓練を始めたころは格上しかおらず常に全力だったがここ数年は正直負ける気がしたとことがない。

 唯一絶対勝てないと思うのはアイスだけだ。父上とはそもそも本気で戦った記憶がない。


「ないですね。」


「そうよね。」

 母上も何か含みがあるような相槌を打った。


「キア、正直俺はお前が誇らしい、神童と呼ばれ同世代と比べると圧倒的な力を思っている。ただし、危うさも感じている。

 大人でもお前に勝てるものは少ないと思う。でも言い換えると圧倒的な格上とこれから戦わなくてはいけなくなる可能性があるってことだ。

 その時に俺やアイスが近くにいるとは限らない。だから、本当の強者との戦いを経験してほしいんだ。」


 なるほど、つまり簡単に言うと。俺に格上を教えてくれるということか。ちょうどいいや。自分がどれくらい強いのか、試してみたかったし。


「分かりました。本気で行きますよ。」


「ああ、場所を移動しようか。」


 *****


 近くの草原に来た。


「俺は剣しか使わない。お前は魔法も使っていい。俺を殺す気でこい。」


 剣しか使わない??なめられたものだ。当たり前か、王国でも5本の指に入る実力者だもんな。


「分かりました。本気で行きますね。」


「ああ、行くぞ。」


「サンダーボルト。」

両サイドから雷が襲う技だ。


「甘いな。」

 え?剣の一振りで、全部消された?!

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