第9話 夢?
やばい、意識が途絶えそうだ。あーあ、幸せな2年間だったな。前世では味わう事ができなかった幸せで豊かな人生だったな。
大人になってもっとこの世界を見て回りたかったな。魔法も使って見たかった。ああ、もし生きて帰れたらもっと頑張っていきよう。
「アイス・ド・ランス」
俺は意識が途絶えるギリギリの時に、ゴブリンが氷の槍に貫かれる光景と、その貫かれたゴブリンの奥にアイスが必死に戦っている光景を見た気がする。
****
「キアちゃん、起きて。キアちゃん。」
ん?ママ?ここは
「ママ?』
「キアちゃん、良かった。ダメじゃないこんな所で寝ちゃ。」
俺は一体・・・そうだゴブリン。やばい
「ママ、ゴブリンは?」
「ゴブリン?何言ってるの?屋敷の中にゴブリンなんている訳ないでしょう。」
屋敷の中?
「ダンジョンは?」
「ダンジョン?何のことかしら?変な夢でも見たのね。さあ、部屋でゆっくりお休みなさい。」
そんな、あれは夢だったのか?いや、待てあのフレアー家の怪しい子供はどうした?
「ママ、フレアー家の人は?」
「もう、かなり前に帰ったわよ。」
夢?あのダンジョンは存在しない?あの変な声は?
アイス・・・そうだ。意識が途絶える最後にアイスの姿を見た気がする。アイスを探さなきゃ。
「ママ、トイレに行ったら部屋に戻るね。」
「気をつけてね、ママ先に部屋で休んでるから。」
「うん。」
アイスに聞けば何か、分かるかも知れない。どこにいる部屋に言ってみよう。
コンコン
「兄上、兄上いる?」
・・・・・
返事がない。いないのか、何か有ったんじゃないか?
「兄上、入りますよ。」
ガタン。
「いない。どこに行ったんだろ。」
「何勝手に人の部屋に入っているんだよ。」
「うわぁ」
アイス、無事だったんだ。!!
「兄上!あの。」
待てよ、もしあれが本当に夢だったとしたら、アイスにいきなりダンジョンの話をしたら頭がおかしくなったと思われてしまうか。
「なんだよ。言いたい事が有るならハッキリ言えよ。」
アイスの右手、少し怪我してる。やっぱり夢じゃないんだ。
「兄上、その右手。」
「ん、これか転んだんだよ。」
え、なんで嘘をつくんだ。今一瞬、「しまった。」みたいな顔したよな。
「兄上、ダンジョンにいた?」
「ダンジョン?何言っているんだ。寝ぼけているのか?」
絶対何か隠している。
「ゴブリンから助けてくれたんでしょう?」
「意味の分からない事を言うな。寝ろ。」
全く話をきいてくれない。なんで隠すんだよ。このまま話をしても無駄か。部屋に戻るか。
「わかりました、おやすみなさい。」
「おやすみ、キア。今のダンジョンの話、父上と母上にはするなよ。心配するから。」
やっぱり何か有るんだ、でもアイスにはきっと何か考えが有るんだ。これ以上この話題を家でするのは止めよう。俺がやるべき事は強くなる事だ。
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