第8話 絶対絶命


 なんとかゴブリンから逃げ切ることができた。

 さっきの不思議な、声はなんだったんだ?女性の声に聞こえたけど。


 というかここは、やっぱりここはダンジョンなのかな。なんとか出口を探さないと。

 入り口も分からないから取りあえず、探索をしないといけない。


 でも、もしまたゴブリンに会ったら本当に終わりだよな。


 その後しばらくは、スライムにしか遭遇しなかった。スライムなら逃げ切れる事が判明した。レベルアップという概念があるか知らないが、スライムを何とかして倒してみよと思う。


 遠くから、石を投げて。また距離をとる。

 これで安全に倒せる。


 ぽい・・・グチャ。 ぽい・・・グチャ。


 2回ぐらい石を投げると、スライムが弾け飛ぶ。これならいける。


 モンスターを倒したら、ステータス画面見たいなものが出て来るかも。と考えていたが全く出てこなかった。ただし、何となく強くなっている気がする。例えるなら筋トレをした結果、筋肉が大きくなる感覚に似ている。


 夢中になって、石を投げてスライムを倒しておると1発で倒せるようになった。これは筋力が上がったのかな。それともステータス画面が見えないだけで、実は攻撃力が上がったりしたのか?


 なにはともあれ少し強くなった事には間違いない。でも流石にゴブリンに攻撃を仕掛けるのは本当に危険だよな。もしダメージを与える事ができなかったら多分死ぬ。さて、探索を再開しよう。


 お、階段がある。下り階段か、これだとダンジョンの奥に進む事になるのかな。いや、待てよもしここが塔のようなダンジョンだすると下に進む事で出口に近く事になるのか。


 ・・・・降りてはダメ・・・・


 ん、また変な声がする気がする。これは悪魔の声で、俺をはめようとしているのかもしれない。無視して下に進もう。


 階段がらせん状になっているな。先が見えないから不気味だな。お、階段の先がすごく明るい!!出口か?


 ・・・進んではダメだ・・・


 

 また、この声か。無視して進もう。えい!


 大きなフロアーに出たな。出口が近いのか?


 え?嘘だろ。ゴブリン・・しかも20体以上いる。

 なんでだよ、出口じゃなかったのかよ。


 近寄って来る。


 「こっちに来るな!!えい」


 石が全く効かない。逃げなきゃ。


 階段が消えている。嘘だろ、やばい。


 どこか隠れる場所、何もない。怖い。怖い。死にたくない。


 いやだ。



 ・・・止まれ・・・


 ゴブリンの動きが止まった、


 ・・・だから、進むなと言ったじゃろ・・・


 誰?


 ・・今は説明する時間がない。私が話せる時間ももうないのだ・・

 ・・30秒後にゴブリンは動き出す。その前に逃げろ・・

 ・死んではならんぞ・


 どうゆう事、30秒。逃げなきゃ。フロアーから出る事は出来ないけど、ゴブリン達の先に岩の出っ張りがある。あそこまで逃げよう。


 早くしなきゃ、ハァ、ハァ。


「うぎゃ!!」


 ゴブリンが動き出した。


 早く、早く。くそ、もっと強ければ。


 ぎりぎり間に合った。ハァハァ。


 ゴブリンが岩を壊してる。もう時間の問題だな。それに動く体力ももうない。

 ああ、もっと強くなれたら。あの、声なんだったんだろう。


 バキン、バキン。


 ああ、岩が。意識も途絶えそうだな・・・。


「アイス・ド・ランス」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る