第7話 不気味な子供

 ママの話を聞いた後、俺はお手洗いに行くと言って部屋を出た。普通の2歳児はどうか知らないが、俺は一人でトイレができる。社会人として当たり前だ。


 まあ実際、お手洗いに行くわけでなくて、客人の様子を見に行こうと思っただけなんだがな。別に父上が心配な訳ではない。ママの話を聞いて、父上が相当強いことは分かったので心配ではない。普段、家族以外はメイドとしか会わないから、外の人間に興味が有った。


 廊下を歩いていると、アイスに有った。客人のお出迎えの時にはいなかったな。


「キア、何ウロついているんだ。早く部屋に戻ってろ。」


 なんだよ、いきなり感じ悪いな。

「お手洗いに行くところなんだよ。」


「そうか、さっさと戻れよ。」


 アイスはそう言い残すとどこかに行ってしまった。いきなり、なんなんだよ。アイスは虐めたりはしてこないけど愛想が悪いんだよな。そんなに無愛想だと将来苦労するぞ。


 ん?誰だ・・・。アイスと別れて廊下を歩いていると、向こうに俺と同い年ぐらいの子供が立っていることに気が付いた。フレアー家の子供か?

 一応挨拶しておくか。話ができるかはしらんが。


「こんにちは。」


 ・・・・・


 無視かよ。こいつも無愛想なやつか?少しぐらい反応しろよ。


「僕は、グラスト・キア。君は。」


 ・・・・・


 はぁ??なんだよ。こいつ。まったく表情が変わらない。ムカつくな。


「ねぇ、聞いてる?」


 ・・・・


「猿芝居はやめろよ。」


 え?なんだこいつ。


「なに?」


「お前、転生者だな。」


 嘘だろ、こいつ。なんで俺が転生者とわかるんだよ。ごまかさないと。


「なにを言っているの?」


 ・・・・


 こいつ、さっきのはフレアー家の当主と同じ憎悪の目をしてる。


「お前は後々邪魔になりそうだな。今のうちに消えてもらおうか。」


 こいつ明らかにやばい。ただの2歳ではない。何より、触れていないけど明らかに格上だとわかる。今まで格下に有ったことはないけど。逃げないとやばい。


「落ちろ。」


 え、落ち・・・ろ??


 ********


 ここどこだ?

 岩肌、地面も土。屋敷の中にいたはずだよな。


 あいつが、落ちろ。って言った瞬間に目の前が真っ暗になって、意識が飛んだんだ。


 一体どうなってるんだ。


 ポヨン、ポヨン


あの青くて柔らかいのなんだ。あれってスライム?

モンスターか。やばい、いくら雑魚モンスターでもこの2歳の体では何もできない。魔法も勉強してないし。


追いかけて、来るな、あっちいけ。早く走れにないけど。なんとも逃げきれそう。


 ドン、うわ。いてー


 え、ゴブリン。嘘だろ。死んだ。

棍棒で殴られて、死ぬ。避けれない。


・・・逃げな・・・


 え、誰?


 ・・いいから早く・・


 よく分からないけど、ゴブリンの動きが止まった。今のうちに逃げよう。

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