第6話 ママの正体
挨拶を済ませて、屋敷の中に入った。
父上はなぜか、客間には俺とママを入れることは無かった。
フレアー家一行と父上だけが客間にいる状況になった。これって危なくないか?もしフレアー家の中に父上の命を狙う者がいたらまずいよな。
「ママ、父上一人で大丈夫かな?」
「ふふ、大丈夫よ。あの人は強いのよ。」
ママが自分の事のように、自慢げな顔をしている。
ママはそう言うけど、やっぱり危ないと思うんだよな。
「そんなに不安そうな顔しないの!大丈夫だから!」
心を読まれた。さすがママ。
「うん」
「パパの昔のお話聞かせてあげようか?」
「聞きた!!」
「パパには内緒よ、得意になって調子に乗るから。」
「うん!」
「パパがこの家を一代で大きくしたのは知っているわよね?」
「うん」
「パパね、元々貴族だったけどヤンチャだったから身分隠して冒険者をしてたのよ。信じられる?貴族の息子が冒険者よ。おかしいわよね。」
冒険者?あの冒険者か?モンスターとかと戦う?
「それでね、各地を渡り歩いていたのよ。ギルドのマスターとかもしていたのよ。」
え、父上落ち着きがあって品格もあるけど、かなりワイルドやん。
「ある時、ギルドに緊急案件がきたの。内容は敵国の闇ギルドに捕まったお姫様を救い出せ。まあ、お姫様って言っても王様の隠し子だから、表向きはただ女性を救い出せ。って話になるんだけどね。」
「パパは自分のギルドのメンバーは連れて行かず、単身でその闇ギルドに乗り込んだの。あとで、なんで一人で乗り込んだの?って聞いたら大所帯で乗り込んだら、国同士の戦争になる可能性があるから。って言ってたわ」
いや、いや、理由はさておき普通さ、闇ギルドに一人で普通乗り込むか?
「その闇ギルドには、かなり手練れの冒険者が沢山いたんだけど全滅。パパ一人でギルドを壊滅させて、お姫様を救い出したの。お姫様は幸い、大切な人質だから酷い目に有ったりはしなかったのよね。」
父上はやっぱり、かっこいいな。
「パパは、その後色々有ってそのお姫様と恋に落ちて。結婚することになるの。でもいくら隠し子とはいえお姫様は、お姫様。王様も娘をいくら恩人とは言え、どこの馬の骨か分からないやつにはやれん。みたいな態度だったけど、そこでパパはいったのよね。
{この名は使いたくないが、俺はグラスト家次期当主。グラスト・サードです。貴族である俺が手柄を上げたのです。報酬をいただきますよ。}王様相手に言ったのよ。」
王様相手に何を言ってるんだよ父上。常識人ぽいけど、とんでもない。
「王様も、何も反論でき無くなってたわ。そうしてパパはお姫様と結婚して平和に暮らしましたとさ。可愛い子供達にも恵まれてめでたし、めでたし。」
「すごい!」
ん、待てよ。これ父上の話だよな?そうなると・・・
「そのお姫様、私なんだけどね。だからパパはあんな貴族たちには負けないよ」
いや、ママお姫様だったんかい。これ親のノロケ話聞かされただけじゃん。
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