第3話 幼児期
父上とママの会話から、この世界の事が何と無く分かった。まず嬉しかったのがこの世界には魔法がある事だ。やっぱり異世界転生と言ったら魔法だよな、俺にも魔法の素質あるかな。いや、俺は転生者だ、有りえないぐらいの魔力量があるかも知れない。
あとは、王国が有って貴族がいる。つまりこれも、王道の異世界って感じの世界になっているようだ。まあ、黒い部分で言うと奴隷とか、身分の格差がかなりあるようで、正直元の世界とは比べようが無いぐらい残酷な部分もあるようだ。
あまり喜ばしく無い部分で言うと、これも王道だが魔王がいる。人間と魔族が戦争をしている訳では無いようだが平和では無いようだ。魔族に関しては、あまり父上とママの会話に出て来なから分からない。
俺の幼児期は実に平和で穏やかな暮らしだった。何より綺麗なママがいつも側にいる。一人で夜中のオフィスで仕事をしていた前世とは大違いだ。これはあれだ、もうほぼ天国だ。
せっかく貴族に生まれたから、今世は平和に残業のない人生を送りたいものだね。
2歳を過ぎた頃には俺は普通に話せるようになってた。体に機能で言うと少し走ることもできる。通常の2歳と比べるとかなり成長が早い。ただし、これは天才というより前世の記憶があるから、効率よく体を動かせるのと、言葉はなぜか最初から理解できた。うまいことできているな〜。
ただ、周りは俺が前世の記憶を持っているなど、知るよしもないので俺の事を`天才`と呼ぶ。でも俺には分かる、別に自分が天才ではない事を。
ちなみに、俺が最初に話した言葉は「ママ』だ。元々ママと呼んでいたが、声帯が上手く機能せずにいつも上手く声になっていなかった。しかし、ある時、声になった。それは急にだった。
「ママ、美人」急に声になってしまったのだ、おやじが飲み屋のお姉ちゃんを口説くようなかんじで発言してしまった。声が出ない事を良い事に好き放題言っていた俺はやっちまったと思った。
急に我が子が「ママ、美人」と言ってくるのだ、怪しまれてもおかしくない。しかし我がママの反応は俺が思っていたのとは大きく違った。
「ママ、美人」
「え、キアちゃん。いまなんて言った・・・」
やべー、やっちまった。一旦バブバブ言ってごまかすか・・・。
「キアちゃん。」
「ば、バブ」
すごい圧力を感じる。
「キアちゃん、もう一回言ってちょうだい。」
ダメだ。圧力が強すぎる。
「ママ、美人」
次の瞬間ママの顔がお日様のように輝いた。
「まあまあ!!!!キアちゃん!!あらあら!!初めて話してくれた!しかもママ美人。って!嬉しいわ。」
あれすごいテンションが高い、喜んでくれているみたいだ。よかった。
「キアちゃんの成長が感じられて、ママ本当に嬉しいわ。これから沢山お話ができるのが楽しみだわ!!」
ああ、俺本当に愛されてるんだな。ここに生まれてきてよかったわ。
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