第4話 チート能力は?
歩いたり、話したりできるようになった俺は、異世界転生ではお約束のチート能力が備わっていないか模索していた。
チート能力にも色々あるが、授り方は結構限定的だと思っている。例えば前世で死んだ時に女神様に会って「魔王を倒してください、世界を救ってくだい。そのためにあなたに望む能力を授けましょう。」とか言ってチート能力を授かったり、転生した後にステータスをみるとチート級のスキルが有ったりだ。
うーん、女神様に会うことも無かったし、この世界にはステータスを確認したりするすべもないみたいだ。王道のパターンで考えると、チート能力を授かるイベントに遭遇していない。俺にはチートスキルないのかも・・・、
そしてもう一つ俺に、チートスキルがないと思われる出来事が有った。それは兄のアイスの手を触った時だった。本能的に勝てないと感じた。うまく表現は出来ないが、前世の感覚で例えると、腕相撲で手を組んだ瞬間に絶対勝てないと感じる感覚に近い。戦ってはいないが相手の魔力量の方が多いのが分かる。ちなみにこの感覚は、アイスから感じて以降他の人に触れた時にも分かるようになった。
そして、自分より弱い人に会ったことがない、メイドや来客者に触っても全く勝てる気がしない。俺が弱いか、周りが全員天才かの2択だろう。多分、「膨大な魔力量がある」、とかのチートも俺にはない。
あーあ、せっかくの異世界転生したのに無双は出来そうにないな。まあ、貴族に生まれたし、のんびり暮らせればそれでいいか。家の跡継ぎとかはアイスに任せよう。
そういえば、アイスはたまに話したりはしてくれるがあんまり遊んでくれない。別に遊んで欲しい訳ではないが兄弟として生まれたから仲良くはしたい。
「お兄ちゃん、おはよう。」
「キアか、おはよう。」
「遊ぼう!」
「俺は忙しいから、一人で遊べ。」
こんな感じのやり取りが定番である。嫌われているのかもしれない。まあ、いじめられないだけいいか。
チート能力はないが、この穏やかで平和な日常を楽しんで生きていこう。
「キア、お客様がくるぞ。」
父上の声だ。お客様?
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