第2話 どこに生まれた??

 そうか、本当に異世界転生ってあるんだな。と言う事はこの頭がおかしいと思っていた美人は母親になるのか。そしてあのイケメンは父親か!そしての俺の名前は`キア`って事になるんだな。


 しかし、まだ視界が安定しないな。しかも抗えない睡眠欲が襲ってくる。残業中に襲ってくる眠気とは違って心地いいけど、社会人である俺が簡単に寝てたまるか・・・


 ****

 

 しっかりと寝てしまった。赤ん坊の体は不便だな。まだ上手く手足も動かせないし、何より視界が安定しない。音ははっきり聞こえるんだけどな。情報が少ないから、自分がどん環境に生まれたのかはっきりしない。正直不安は沢山あるが、今は何もできないから時に身を任せよう。

 ああ、また眠気が・・・


 こんな感じで、眠気と戦いながら半年がすぎた。この半年で分かった事は俺は貴族の家に生まれたこと。使用人も沢山いて、どうやら父親、いや父上が当主らしい。母親も元々どこかの貴族出身にようである。二人に愛されて育てて貰ってるいる。なに不自由なく快適である。いい所に生まれて実にラッキーである。


 あと、俺には4つ離れた。兄がいる事が分かった。無愛想なところがあるらしいが、たまに俺の顔を見にきて、ほっぺを触って何処かに行ってしまう。悪いやつではなさそうだが、俺のイメージだと貴族に生まれると跡取りとかであの兄と揉めるのだろうか。できれば、仲良く過ごしたいものだ。


 貴族だと、メイドとかが子供の世話をすると思っていたが、違った。基本的に母親が面倒を見てくれて同じ部屋で生活をしている。母親はよく俺に話かけてくれる。ちなみに最初は母親とよんでいたが、次第にママに変わって言った。

「キア、ご機嫌はどうですか。ママはあなたが生まれてきてくれて、とても嬉しいですよ。」

俺も嬉しいよ、ママ。頭がおかしい美人とか言ってごめんよ。俺はあなたのような綺麗な人の元に生まれる事ができて本当に嬉しいよ。しかもいい体してるし。でも不思議なんだよな、こんな美人の胸に触っても母親だからか、俺が赤ん坊のせいだからはわからんが性的な興奮は全く沸かないんだよな。ただやはり、幸福感はある!かなりある!


「あら、何だか嬉しそうな顔をしてますね。」

 おっと、表情に出てしまった。失敬しました。


 ちなみに父上はよくママの部屋にきて、イチャイチャしている。仲がよろしいようで何よりだ。

 

 俺は基本的にこの母親といる部屋からあまり出ないから、情報は少ないが最近は、視界も安定してきて体も割と動かせるようになってきた。前世で筋トレをして解剖学を理解しているから、自分の体の状態が何と無くわかる。首が座って、日に日に体の筋肉がついてくる感じがする。もう少しでハイハイができるようになりそうだ。


 今、俺が一番気にしている事がある。それは異世界転生したんだから、

 チート能力とか、女神の加護とか、最強の武器とか無いのか!!だ。



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