第26話 お疲れな運転手とうるせぇ大剣使い

 1節 魔法の森の朝



「おはよ〜」


「お、おはよー」


「俺まだ寝てちゃダメか?」


「はよ起きろ」


「ヘいヘーい」


「みなさんおはようございます」


「おは〜」


「もうみんな起きたか」



 現在朝の6時。車は道から外したところに置いている。寝たい。



「徹夜で運転お疲れ」


「徹夜させた張本人がなんか言ってる……」


「悪かったって。運転できないんだからしゃーないじゃんか」


「だから棒くるくる回しながら出力あげたらクラッチ繋げてギアいじるだけだって」



「それがわかんないんだっての」



「逆に朝凪はなんで動かせたん?」



「うーん、才能?w」



「うわ腹立つ」


「それな」


「わかります」



「確かにうざかったような気はするけどひどない?」


「ひどくない」


「あっはい」


「まあ真面目に言うとレバーとかボタンとかペダルとかにラベルが書いてあったからだよ。なかったら何で何をするのか全く分からんからめちゃくちゃ助かった」


「なるほどな」



 そんな会話をしばらく続けていると時雨と睦月が朝食を作り始めてくれた。



 本当にありがたい。でも、



 でもルーフキャリアの貨物を取るのに僕と矢矧でさえ手間取るのはどうにかしたい。



 次の街に着いたら町工場に行って折り畳みの梯子はしごでも装備させてもらおう。




 2節 今日はただ休むだけ


「朝ごはんできましたよー」(時雨


「冷めちゃうからさっさと食べて〜」(睦月



『ありがと〜!』(如月・矢矧・朝凪



『いただきまーす!』(一同



「にしても今日はどうする?朝凪くそ眠そうだけど」(睦月


「僕は昼まで寝てたい」(朝凪


「え〜!あたし早く山行きたい!」(如月


「無茶言わんでくれ。事故ったりしても嫌だし」(朝凪


「えーーー」(如月


「駄々こねるな。僕はこれ食い終わったら寝るからな」(朝凪


「如月今日は諦めろ。坂田は流石に寝かした方がいい」(矢矧


「えーしょうがないなぁ。まあ坂田は運転しないにしてもさ、矢矧が運転すりゃいいじゃん」(如月


「え俺できんぞ?」(矢矧


「あじゃあ動かし方教えるわ」(朝凪


「そんなぁ」(矢矧



 そんなこんなで朝食の時間は旅のことがほとんどの話題だった。



 3節 不安な矢矧の運転



 ———スロットルレバーな。あんま上げすぎるなよ」


「あいよ」


「これはシフトレバーだ。こんな感じで動かす」


「ほい」


「これで終わりかな」


「ありがと。これで運転できる」


「んじゃよろしく。僕は貨物室で寝てるから」


「あいよ」



 パパパ!ガラガラガラガラ



「やっと休める……」



 僕は貨物室のトランクを開けて中へ入る。



「閉めますねー」


「頼む」



 時雨に閉めてもらう。



 すると貨物室の中は照明を点けていないので薄暗くなった。



 そこに横たわると、僕に眠気が襲いかかり、眠ってしまった。





 そして次に矢矧に起こされた時にはもう真昼間12時00分だった。




 3節 いつもと変わらない昼食と午後


「おいし〜!」


「やっぱり美味いな」


「もうこれがある種の癒しだよね」


「なんだろうね、安心するというか」


「ありがとうございます」



 今は昼ご飯を食べている。



 やっぱりとても美味しい。メニューはパン、焼き魚、薬草スープだ。



 美味しいは美味しいのだが、流石の時雨と言えど種類が少ないとレパートリーも限られるようなので、次の街に着いたらレシピ本と食材を買い足しておこうと思う。




「午後はどーする?」


「俺は疲れた。お前が運転しろ」


「えー僕寝起きなんだけど。危ないでしょ?」


「運転してもらうために坂田くんのスープには眠気覚ましの薬草を混ぜておきました」





「おのれしぐれ」





「なんか無駄に語呂いいのでやめてください?」





 その後は僕の運転でまた山脈を目指した。なお流石に今日は僕も夜は寝る。



 4節 いつもと変わらない夜



「これで全部か?」(矢矧


「そだね。これでテントは張り終わった」(朝凪


「テントって張るって言うん?」(如月


「言うよ?」(朝凪


「はえ〜」(如月


「はえ〜を坂田以外が使ってるの初めて見た」(矢矧


「確かに。朝凪ってめっちゃはえ〜使うよね」(睦月


「なんでだろねぇ」(朝凪


「いやお前のことだろ」(矢矧







「それじゃおやすみ〜」


「おやすみー」


「おやー」


「おやすみ」


「おやすみなさい」





 こうしてまた1日が終わる。



 魔法の街ペルニジムから超巨大なアンディア山脈への旅は、あと6日続いた。

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