第29話 最強の殺し屋クロは、学園の闇を暴く

 昨日、天武神アカデミアに潜入して気になった事が複数ある。それは六色光を目標としていないこと、異様な人物がいることだった。


 「だとしたら……。やはり天武神アカデミアはギルドの傘下なのか?」


 レイは一人宿で悩んでいた。でも結局トン・ファーを殺すことには間違いないから一旦考えるのをやめて寝ることにする。


 今回は天武神アカデミアの上層部に潜入する。その際、人がいたらそのものを殺す。それが今回の任務だ。レイは宿に隠している獲物を取り出し。出発をする。


 夜闇には綺麗な満月の月の光が薄暗い道を照らしている。そんな薄暗い道から仕事の服装に着替えたレイの姿が薄っすらと見えた。


 「よし、仕事開始だな……っとその前に」


 レイはある人に連絡を入れた。


 「もし、死鳥デスバードか?」

 「はい、こちらサード学園島の西地区に待機しています師匠」

 「こちらも今から目的地に侵入を開始する」

 「了、脱出の準備もしておきます。気を付けてください」


 レイはシシルとの会話を終えて校門の鉄柵を捻じ曲げて潜入する。妙だが敷地内には誰もいなかった。


 「ここには誰もいないか……」

 「って待ってくれよ兄ちゃん」


 この敷地内の中にレイを呼ぶものがいたが、見た雰囲気じゃこいつもギルドの者だろうそう感じたレイは一応名を聞く。


 「名を教えろ」

 「もしかして君元から僕の存在に気づいていた?」


 その問いにレイは無言でスルーした。それを無視したせいかその謎の人物は激怒してレイの傍まで一瞬で距離を詰めてナイフでなぎ払いをした。


 「危ないな」


 レイはその攻撃を軽々かわした。


 「話を聞いた通りきみかなり強いね」

 「それはどうも」


 レイはそう言いながら謎の人物の腹に一撃入れた。その謎の人物は後方に下がり体勢を整えるがかなり効いたのだろう少し震えていた。そしていきなりレイに連絡が届く。


 「どうした?」

 「師匠! いまそちらにこの人物が来ていませんか?」

 「あぁ。来ている何なら今戦っている」

 「うお、さすがです師匠」


 脳の中に伝達された画像と一致しているこの謎の人物の正体は殺し屋を殺すギルドの最高戦力の一人である【リゼル】だという事が分かった。


 「なぁ、リゼル」

 「なんできみが僕の名前を知っているのですか?」

 「今から死ぬリゼルなら教えてあげるよ、なぜならねきみ達が殺そうとしている情報屋から俺の部下に情報がいきそしてその部下から俺に来たからだよ」

 「なるほど……ではきみには死んでもらいましょうか!!」


 リゼルは自身の体の一部を硬化させてレイの横腹をなぐ、そしてレイはその攻撃をギリギリでかわすが少し切れてしまった。


 「おっと、久しぶりの血だ……」

 「ははは! キミじゃ僕には勝てないんだよ!!」

 「でもお前はもう死んでるけどな……」

 「え……」


 バタという音が周囲に広がる。


 「あれ、僕が負けた……いったいどうして……斬られた感覚はなかったはず……」

 「負けた原因は自身の評価の高さだな、俺は決して自分を強いとは思わない。実際におれは本気の師匠には勝てなかったからな……」

 「お前……は……、はぁはぁ……」

 「では死んでくれ」


 パン!!リゼルは殺された。


 そのままレイは会長室へ向かう、どこにもトン・ファーはいなかった。だがそこには明らかにギルドと会議をした資料の痕跡があった。この裏社会のルールの一つである【決してギルドと交渉や会議をしてはいけない】がある。ということでこの天武神アカデミアは黒だと言うことが分かった。


 「あのギゼルの生命探知が消失しました!」

 「ふふふ、あのギゼルが負けるとはね……」

 「これはあいつの実力を下に見過ぎましたね」

 「そうだな、これは我らの負けとしよう。では次の作戦へ移れ!」

 「は!!」


 レイは証拠を押収して、その場を去ってそのまま待機していたシシルと合流してその場をさってラスト学園島のアルスアカデミア学園の寮へ帰還した。


 「やっぱり師匠は強いですよ!!」

 「いや、たまたま殺せただけだ」

 「たまたまじゃないですよ!」

 「ありがとなシシル」


 だがギルドねぇ~。この世界において表社会と裏社会は平等だ。国王もギルド、裏ギルド長も全てが対等な立場だ。


 レイはベットに寝転がると連絡機器がぶるぶると震えた。レイはため息をつきながら渋々その連絡機器を覗くとそれは意外な人物だった。


 「やぁ~もしもし」

 「てめぇ~誰だコラ」

 「ちょちょ! 切らないでくれよ、ところでルイス君について聞きたい事があるんだ」

 「何だよ」


 このレイの通話相手はカシルという人物で俺が活動している裏社会の統括をやっている俗にいう長だな。国王と同じ権力を持っているからかなりこの国では動きやすい感じだ。そんな奴からルイスの事を聞いてくると言うのはあいつかなり裏社会では保護されているらしいな。


 「別に普通だ」

 「それは良かった。そういえば今日、表ギルドの強者を殺したとかなんとか……」

 「あぁ、リゼルの事か……。あいつはまだ弱い方だと思うな」

 「リゼルか……。あいつでもレイ君には勝てない……分かった。今回はお疲れ様だった」


 そう言うとその通話は終わった。


 


 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る