第19話 最強の殺し屋クロは、正体を隠す

 さっき情報をくれた伝説の情報屋ルイス・ルーミアと分かれて今レイは自室に居た。


 「あぁ、分かっているさ。俺が目的ってことわね……」


 レイは自身のタンスを大きく叩く。レイはかなり怒っているようだ。部屋中に響き渡る木製の音はどこか心地よさもあった。


 「あぁ、もう準備はできた……行くぞシシル」

 「分かりましたよ師匠」


 俺は本部から派遣されたシシルを連れてミシェラが拘束されているであろう廃ビルに向けて家を出た。


 (でも分からないな……俺一人でも楽に勝てるのに……)


 クロとシシルは急いで現場である廃ビルに向かった。その頃スミは絶対絶命の場にいた。


 「つ……《つるまい》」

 「目的を排除します。《メガロバースト》」


 一本のデカい光の線は廃ビルの壁を貫通して天空に轟いた。そして煙の中から一人の倒れた銀髪少女と巻き込まれそうになったミシェラの姿がそこにはあった。


 「ごめんレイさん、エリスさんそして、ミシェラさん。私もうだめかもしれないです……」


 スミはあきらめの声が漏れた、それはもう死をまじかに悟った鹿のようだった。そしてロボットがまた奇妙な音を出しながらスミとミシェラの方に向けて光線を撃つ。ビューンと言う音を出しながらスミとミシェラに近づいたその時だった。勇者が現れた。


 「必ず殺す前には死が呼ぶ匂いは蜜の味がするんだよねぇ~。お嬢ちゃん大丈夫か?」

 『あなたはもしかして!』


 スミとミシェラは口を揃えてそういう。そう二人の目の前にちょうどのタイミングで現れた男は六色光の傘下として所属している死鳥デスバードことシシルだった。


 「もう安心して。お嬢ちゃんは休んでてね」

 「は、はい!」


 突如現れた六色光の傘下である漆黒の光ダークフレイの一人であるシシルの言葉を信じて後ろで休むスミとミシェラ。そしてそのままシシルはあるもう一人の人物に状況を説明する。


 「このような状況になっています。はい分かりました師匠」


 その男は瓦礫でよく見えなかったが誰かと話それとその者を師匠として慕っている男の指示でまたシシルは動く。


 「待たせたね、ロボットたち僕と遊ぼうよ」

 「破壊プログラム認識……障害を排除します《ライトビーム》」

 「遅いね。《部分強化―指―》」


 シシルは自身の体の一部を極限まで強化して敵のロボットをなぎ倒していく。ある程度倒し終わり、どこからかもう一人の黒いローブを着ていて黒い手袋を身に纏った人が現れた。


 「……お前隠れんなよ」


 スミとミシェラにはその言葉の意味が分からなかった。それもそのはずクロが見破れたのは人間離れしている第六感のおかげだ。


 「あれはもしかしてクロ様?」

 「シシルこの二人を任せた俺はターゲットを殺す」

 「師匠分かりました!」


 素早くターゲットの元へ向かうクロの背中をエリスとミシェラははっきり見た。そして二人は思った。


 「あれクロ様だよね?」

 「はい、私体が動きませんでした」

 「よし二人とも少し待っててね」

 『はい!』


 私はこの時思った、学園で一番とされている私は裏社会の視点から見ると埃よりも小さい存在なんだなって……。自分の勘が正しければこの男は死鳥デスバード。裏社会の第二の死神と言われているクロ直属の部下だと思う。今私は格の違いというものを体験している。


 「これが六色光に認められた実力……」


 一方クロことレイの方でも進展があった。クロは猛スピードで追っていたためすぐに赤髪モヒカンの場所まで着いた。


 「さすがだな。クロは……」

 「俺は静かにターゲットを仕留める者……」

 「クロ取引をしないか? 俺はクロを仕留めるように指示されただけだ、だからそいつの居場所――」


 直後地面にボトッ……と何かが落ちる音がした。地面にはなぜか少量の血だまりができていた。


 「あれ体が動かない……」

 「任務完了……」

 「あれ、死んでいる?」


 赤髪モヒカンは斬られたことを気が付かないまま死んでいた。そしてその後合流したシシルとレイは先に自分の帰るべき場所へ戻った。当然スミとミシェラはレイがあの最強の殺し屋クロとは知らなかった。


 翌日スミとミシェラは自慢げにレイ達に昨日あった出来事と伝説で最強の殺し屋クロとあった事を話してくれた。そこで俺はその場ですごく相槌を打った、これもあのリリーの入れ知恵だ。


 (あいつの入れ知恵って案外役立つな……)


 そしてまだまだ待っているドミニオンの大会。もうすぐランキング上位者を決める大事な大会。どんな相手が待っているか分からない。そして噂にも出てきているが六色光の次期傘下に入るであろう人物。


 今期最強の学園生が待っていることも……。


 「で、どうだったあいつの方は?」

 「はい、それが消息不明になってしまいました」

 「やっぱりあいつじゃ無理だったか」

 「監視者によると指一本触れることができなかったと……」

 「クロは口だけではないようだな」

 「あ~。そしてほかにも六色光を倒すために作られた人間型ヒューマロイドⅡ型数十体を単独でなぎ倒した者もいたとか……」

 「あれを単独でか……。次は少しそいつの情報もとるように……」

 「は!」


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