第20話 最強の殺し屋クロは、目を付けられる

 {さて! 大会も終盤に入りました! 今大会熱いチームはたくさんいます!! この中で勝ち上がるのは誰なのか!!}


 「レイ、ミシェラの件は無事に片付いたみたいね」

 「そうらしいね」

 「犯人はごろつきだったらしい」

 「ここは物騒だな」


 廊下を歩きながらそんな会話をしている時、前から女?みたいな姉妹が歩いてきた。


 「あらこんにちは」

 「こんにちは」

 「次の対戦相手は私たちだからよろしく」

 「あぁ。こちらこそ」


 そして通り去る姉妹を後に控え室に戻ったレイ達。


 「それでね、その姉妹感じ悪かったの」

 「エリスさんその人達たしか」

 「たしか??」

 「たしか……特殊諜報スレンディア学院の会長の弟子だったような……そしてかなりたちが悪い戦い方をするらしい」


 エリスとレイは控え室にいたスミから聞かされた戦い方に少し不思議がっていた所にスミが追撃をいれる。


 「私もその方の試合を見たのですが、その時相手は男性お二人で最初押していたと思ったのですが後半になるとそれが逆転していて、しかも歩くたびに男性の周りが爆発していましたね。途中から見てられませんでした。そして姉妹は笑いながらオーバーキルをしていましたね」

 「へぇ~結構えぐいことしているんだね」

 「エリスそんな相手大丈夫なの?」

 「確かに相手はあのスレンディア学院の会長の直弟子で相当強いと思うけどやらないといけない!!」

 「そんなに会長って強いんだ」

 「そうね。噂によると毎日生徒50人とたった1人で全て相手にしているらしいわ」

 「へぇ~そうなんだ」


 特殊諜報スレンディア学院のシルスティはこの学園島では会長で有名だが戦闘力もかなり高いそして直弟子もかなり強いという噂だ。


 「へぇ~次の対戦相手決まったんだ~」


 幼い容姿と可愛らしい声に部屋は包まれた。床は綺麗な畳で飾られておりその声の元となるシルスティはすだれの奥に腰掛けていた。


 「はいシルスティ様」

 「では対戦相手はだれなの?」

 「僕からご説明いたします。対戦相手は今話題になっているダークホースと光です」

 「そうなんだ~。私もその子ら気になっていたんだよね」

 「シルスティ様が気になる人なんて珍しいですね」

 「私も一応女の子だしね~。でも気を付けてね相手はダークホースだよ。がんばってね」


 一通り話が終わり姉妹は身に纏っているピンク色の和服をひらひらとさせながらその場を去っていく。


 {そして始まりました今大会の注目選手ダークホースのレイ選手光のエリス選手ペア対特殊諜報スレンディア学院の会長シルスティ直弟子のリー選手とファー選手ペア今回勝つのはどちらの選手なのか!!}


 スタジアムにいる観客は全員大きな歓声を送った。そして両入口から出てくる2ぺアに観客の目は釘付けだった。そして中央に集まる。


 「よろしくね。レイ」


 リーはレイに挨拶をする。だがその挨拶は煽りにもなる。続くようにファーもエリスに煽りまじりににやけながら挨拶をする。


 「リーファーよろしくね」


 互いの挨拶も終わり開始のゴングが鳴ることだった。スタジアム内に広がるゴング特有の金属音はバトル開始の合図だった。このバトルの勝敗は胸元の紋章を破壊した者の勝利これに変わりはない。


 {さて! ここで動き出したのはリー選手}


 「行くわよダークホース! 《爆積の札ばくせきのふ》」

 (爆積の札? さてこの効果を教えてくれるか? 《鑑定かんてい》)


 レイはそう念じると急に頭の中から語りかけてくる声がした。だがその声は別に不快になるほどではなくそれの逆だった。


 「あれは札を透明化させて近づいた者にだけ爆撃攻撃を仕掛けるといった技です」

 「ありがとう」


 その効果を露わにしたレイはその爆積の札を避けながらリーの元に行く。だがレイはあたりをゆっくり見渡すがリーの姿が見えない。それはエリスも同じだった。同じようにあたりを見渡している。そうしているうちに俺に一発蹴りが来ていたみたいだ。


 俺はそのままノールックでその蹴りを受け流した。それは実況解説の席でも声をあげるように驚かれた。エリスをふとみると何もないのに攻撃を受けている。その場でエリスに俺は指示をだした。


 「分かったわ。光は消える!《ライトシャフト》」


 エリスは設置系魔術を使い自身の周りを固めた。その間にレイは透明化を使っている二人の一人であるリーの背後に周り一発腹にパンチをしたがリーと思われる影はその場で消えた。


 消えたのとほぼ同時だったタイミングでレイに追撃としてもう一撃攻撃が来たがそれもノールックで止める。そしてまた歓声があがる。


 「もういいじゃん」

 「ははは。強がっているのも今のうちだぜ! 《連撃の札れんげきのふ》」


 突如そいつの背後から現れたこぶしの残影はレイを徹底的に襲った。


 「この形態は覚えているな……。昔殺した人間が使っていたような……」


 レイはそう思いながらもその連撃をふわりとかわす。その光景は誰が見ても口をポカーと開けて試合を観戦するほどだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る