第42話 大切にしたいもの
光君に出会ってから、光君への感情が何なのかずっとモヤモヤしてた。
でも昨日光君に会って、なんかこう、霧がサーッと晴れていく感じがした。
このままでいいんだ、多分。
恋愛対象なのか、そうじゃないのかなんてハッキリしなくていいんだ。
光君がどういう気持ちでいるのか、そりゃ少し気になるけど、とにかく今は俺にとって光君が大切な
存在になった。
なんていうか、妻のときとは違う感覚。
妻のときは、相手が求めてくれるから、ただそれに乗っかってただけ。
感情が激しく動くこともなく、ただ流れに身を任せてただけ。
世間一般でいう幸せのカタチを真似することで
自分も幸せになれる、なってるんだって思ってた。
こんな俺でもみんなと同じように結婚できて、子育てできてることで、なんか安心して自信が保てて。
この世間一般から振り落とされないように俺なりに必死だった。
妻がしてほしいことを予測して、世間一般の価値観に当てはめて満足してくれそうなことをする。
結婚式も、家を買うのも、子づくりのタイミングも舵取りは全部相手。
そこに俺のどうしたいは発生しなかった。
こんな俺を良いって言ってくれる人が現れて生涯安泰、俺レベルでこの生活を手に入れられて満足してると思ってた。
この事に何の疑問もなかった。
俺は子どもの頃からの人見知り、地味、ダサい、この性格は変えられないと思って生きてきた。
実際中学も高校も大学も職場も、ずっとパッとせず
燻って過ごしてきた。
人と関わることに恐怖だったし、だったらできるだけ目立つ静かに暮らせればそれでいいと思ってきた。
でも光君と出会って俺は変わった。
四十過ぎて、今までの価値観がぐるっと変わった。
光君と一緒にいると、こんなにも自分の中に色んな感情があったのかってビックリする。
光君に触れると、もっと触れてみたいって思う。
光君に触れられるとドキドキする。
光君といると心の中があったかくなる。
前に光君が言ってた。
周りにどう思われるか関係ない、自分がどうしたいか。
これ大輝も似たようなこと言ってたか。
この言葉の意味がようやく少しずつ自分の中で消化されつつある。
俺なんかじゃなくてもいいのかもしれないって、
俺がどうしたいって思考でもいいんだ。
本当に大切にしたいもの、初めて見つけた。
初めて本当の恋見つけました 月夜のねこ @shiawasenojikan63025
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。初めて本当の恋見つけましたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
今日のつぶやき/月夜のねこ
★13 エッセイ・ノンフィクション 連載中 75話
初めて室内犬を飼う/月夜のねこ
★4 エッセイ・ノンフィクション 連載中 17話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます