第14話 天音輝夜視点(1)


私は自分で言うのも何だが容姿が凄く整っている。これは別に自惚れでも何でもなく、本当に容姿が完璧な程に整っているのだ。

 だからこそ、私は幼い頃から周りに可愛い可愛いと言われ続け、常に周りからは憧れや嫉妬の視線を向けられて来た。

 ただ少しその視線が変わってきたのは中学生の頃だった。私は胸の成長が周りの子と比べてとても早かった、身長は全然伸びない癖に胸だけ大きくなるところは自分の嫌いなとこの一つだったが、それがもっと嫌いになったのが中学生の頃。

 女子から向けられる嫉妬や憧れの視線は変わらなかったが、男性からは全身を舐め回す様な気持ち悪い視線が向けられる様になった。

 男達はバレないのかと思ってるのかもしれないが、女性というものは男性が思ってるよりずっと視線に敏感だ。そんな視線を向けられてからというもの、男性が少し怖くなってしまった。

 

「大丈夫?」


「っっ!?」


 ところが、そんな私が中学2年生に上がった時の事、初めてそんな視線を私に一切向けてこない男の人と出会った。それは私の一個上の先輩の田口修平という名前の人。見た目は正直地味だが、私にそんな視線を向けてこないという所が少しだけ気になってしまった。

 それからだ、私が良く先輩に絡む様になったのは。暇になったら修平先輩に会いに行き、たまに買い物に付き合って貰ったりもした。

 そんな感じで先輩との関係は続いていき、私は3年生になり、先輩は高校生になった。

 今日で先輩と知り合ってから1年ぐらいは経とうとしている。そろそろ私も少しだけ先輩との関係を進展させようかなと考え、先輩の高校の入学式が終わったタイミングを見計らって、教室に行き先輩を呼び出しカラオケに誘う事に成功。


「よ、よし!変なとこはないよね?」


 そして翌日、家を出る前に入念にどこか変な所はないか数十分鏡と睨み合いをし続け、ようやく準備が終わった私は家を出て先輩との待ち合わせ場所に向かう。

 そんなこんなで、無事先輩と合流でき、今日は楽しい記憶に残る一日になる筈だったのに……

 


 先輩が何やら黙り込んで考え事をしている。


「先輩?」


 声を掛けてみると、先輩はハッとして私の方に視線を向けてくると、逃げる様に視線を横に逸らしジュースを取ってくるよと私に言い、何か飲みたいものはある?と聞かれたので、メロンジュースと答えると笑顔で席を立ちボックスから出ていった。


 一体何を考えてたのだろうか……先輩は。何故だか少し焦ってる様に見えたのは気のせいだろうか。

 

《ガチャ》


ドアが開く音がし、先輩が戻ってきたのだと顔を上げると、そこには知らない男の人達がいた。


「え……部屋間違えてますよ」


「ギャハハハwww 別に間違えてねぇよww 俺達の目的はここだ」


 そう1人の男が言うと、他の男の人達と一緒にゾロゾロと部屋の中に入ってきた。


「な、何ですか貴方達!私は先輩と来ていて……」


「うるせぇんだよ、お前。あぁ、もう早く済ましちまおうぜ」


 別の男がそんな事を言うと、ズボンを突然下ろして、私の方へ向かってくる。

 身体が恐怖で上手く動かないが、男の手が私の身体に触れた瞬間、今の硬直が嘘の様に解け、無我夢中に身体を動かして暴れる。


「あぁっ!?痛え!!こんのクソ女ぁ!」


「お前ら抑えとけ!!」


「ひっ!!」


 数人の男達に取り囲まれる恐怖に再び身体が動かなくなる。これから男達が私にする事が何となく脳内で理解出来た私は頬を伝う涙の感覚を覚えながら、頭の中で必死に先輩を呼ぶ。

 

《先輩助けて……!!》


「ごめーん、輝夜ちゃ……え?」


 先輩が部屋に戻ってきて、目を丸くしている。


「せ、先輩!!」


 私は先輩が来てくれたという安心感につい名前を呼んでしまう。

 さっきまでの恐怖が嘘の様に引いていく、先輩が来てくれたんだ!!私を取り囲んでいた男達も皆先輩の方に視線を向ける。


「あぁ?テメェ誰だよ?」


「もしかして、この子の彼氏か?ギャハハww」


 私の頭の中は先輩が来てくれたという安心感と、けれど先輩に傷付いて欲しくないという気持ちでグチャグチャになっていた。

 先輩に助けて欲しい……!!けれど先輩の傷付く姿なんか見たくない、そんなグチャグチャな思考の渦に囚われながら先輩を見ていると、突然私の視界には先輩の後ろ姿が映る。


「え」


 そんな言葉しか出なかった。先輩は私の方を振り返る事もなく、そのまま個室から逃げ出す様に出ていき、この場には男達と私が残った。


「ギャハハハハハwwww マジかよこの彼氏、彼女置いて逃げやがったwww」


「てな訳で、えーと輝夜ちゃん?はこれから俺達と一緒に遊ぼーねー?」


「このレベルの美少女とか久しぶりじゃんww」


 あぁ、私は先輩に見捨てられたんだ。それを理解した瞬間、私はどんな顔をしてただろう?

 涙が溢れて止まらない、ずっと気になっていた先輩から見捨てられた私はこの人達に汚く犯されるしかない。


「なんで……先輩!!嫌ァ!やめて!」


 口から出るのは何でという言葉、男達が私の服を掴み脱がそうとしてくる。

 結局男なんて最初から誰1人信用出来なかったんだ、あの先輩でさえも。けれど私の頭の中に思い浮かぶのはそれでも《誰か助けて》という一つの願い、そんなの来る訳がないのに…… そんなの分かりきってるのに、誰か助けて……!


「あぁ?誰だてめe))) ガハッ!!」


 そんな声が聞こえてきて、他の男達の手が止まり視線をドアの方に向ける。

 釣られて私もドアの方に視線を向けると、そこには銀髪の男の人がスマホを片手に立っていた。



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 基本的返信はしませんが、しっかりとコメントは全て見させて貰ってます。

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 後ヒロインは9人は多かったかなと若干後悔している次第です。

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