さまよえる首なしおばちゃん 後編(怪談)

「「コックリさん、コックリさん、おいでください……」」


「学校の近くの踏切で、電車に飛び込んで、バラバラになって発見された女の遺体がありましたが、頭部だけ見つかっていません。何処にあるのでしょう?」


 すーっと、私とナオちゃんの人差し指で押さえとった10円玉が動き出した。


 そして、コックリさんが答えた。


「と」、「て」、「も」、「た」、「か」、「い」、「と」、「こ」、「ろ」、と。



 ――とても高い所!?



「あの踏切付近て、高い建物なんて、なんも無いで?」

 そう私が言ったが、ナオちゃんは、コックリさんを疑って無かった。


 せやけど、ホンマに高い建物なんて無かったんで、首なしおばちゃんの頭部を探すことも出来へんかってんな。



 結局は、コックリさんでは解決せず、いつものように、ナオちゃんと恐怖にガクブルしながら、帰るしかなかった。


 そんな、すっかり暗なった、ある塾の帰りやった。

「ひゃあああああああああッ!」


 いきなりナオちゃんは悲鳴上げた。

 ナオちゃんの突然の悲鳴にかなりびびった私は、ど、ど、どないしたん? となんとか尋ねた。


「わ、わたし、い、今、肩……叩かれた……」


 ええッ!! って、私も更にもう恐怖のドン底に陥りながらも、咄嗟に「振り向いたらあかんでッ!!」って、叫んどった。


 2人共、振り向かず、駆け足でとっとその界隈を抜け出してんな。

 そんな事もあったわ。





 それから、かなり経ち、首なしおばちゃんが背後から肩を叩くという噂も次第に収束していった。



 そんなもう忘れ去られようとする頃になって、その首なしおばちゃんの見つかれへんかった頭部が、なんと、ようやく発見されてん。



 カラスに突かれて、落ちてきたらしい。




 踏切のそばの、電信柱の上の方に引っかかてたらしい……。

 でも、電信柱のてっぺんに乗っかっていう話の方が多かった。


 電信柱のてっぺんて……フツーそんな所に首が乗っかったりする?? 

 どんな偶然?



 そう云えば……コックリさんの答えたこと。


「とてもたかいところ」って……。


 私は正直、コックリさんなんて半信半疑やけど、それもどんな偶然!? と思って本当にゾっとした。



 ナオちゃんと一緒に塾の帰りに、事故の遭ったその踏切の辺りを通った時、ナオちゃんの肩をポンと叩いたのは、ホンマに首なしおばちゃんやったんかは今も謎のままです……。

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