勇者学校入学式

 勇者として魔王を倒したユウキさんが、魔王を倒したことで元の世界に帰ったかもしれないのなら。

 私も、そうしたら元の世界に帰れるのなら、その可能性にかけてみたい。

 ジェームズさんとミラさんは、ユウキさんにもう一度会いたい。

 私には、勇者学校に入学するための保護者が必要で。

 ジェームズさんとミラさんは、ユウキさんの足取りを追うために、彼が卒業した、勇者学校に潜入したい。

 そのためには、子どもの保護者になる必要がある。

 お互いが、お互いのことを必要としている。

 そう分かったから、お互いに家族になることを決めた。


 次の日、勇者学校の入学試験を受けに行ったけれど。

 勇者ユウキの娘。たったそれだけの事実があったことで。

 書類を受け取ってもらって、私は試験も受けずに入学を許可された。

 なんだか、すごく、申し訳ないことをしたような気がするけれど。

 でも、私はどうしても勇者学校に入学しなくちゃいけない。

 魔王なんて、私に倒せるとは思ってない。

 どんな恐ろしいことが待っているか分からないし。

 だけど。この物語の結末を自分の目で見届けたい。

 自分か、それとも誰かなのか。

 それは分からない。もしかしたら、誰も成し遂げられないかもしれない。

 でも、私か、誰かが魔王を倒すか。

 それとも誰も魔王を倒せずに、このまま生き続けるか。

 その物語の結末を、自分自身の手で、決めるために。

 そのために、私は勇者学校に、入学する。


「ユウカ、緊張しているな?」

「大丈夫よ、あなたならきっと大丈夫」


 見上げればこの世界でのお父さんと、お母さんがいる。

 二人のために、そして、自分のために。

 私は、学校の校舎へと足を踏み入れたんだ。


(完)

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異世界フェイク・ファミリー! 工藤 流優空 @ruku_sousaku

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