遊びをせんとや 🛝

上月くるを

遊びをせんとや 🛝





 雨の月曜日。☔


 家に籠もっていたいところですが、心身バランス保持には一日一度の外出が必須。

 なので、麻のジャケットに薄物ストール、足首までの防水ブーツで出かけました。


 あ、大事なものを忘れていました、車の助手席に常備してある膝掛(冬物マフラーを適当な大きさに手縫い)を持ちこまなかったら、冷房に一時間も堪えられません。


 いつものカフェはさすがに空いていて奥のスペースには人影なし。定位置の窓際も本を読む女性、イヤホンでタブレットを操作する男性など、静かなひとり客ばかり。


 無遠慮な大声で会話する高齢男性グループ、なにか怪しげな勧誘をしているシニア夫婦、家着に近い格好で週刊誌を読みふける女性などが見当たらないことに、ほっ。




      ☕




 それに……なんという幸運でしょう、古書店の百十円コーナーで購入した文庫本を読み始めてみると意外なほどの快作で、これで一週間は愉しめると頬がゆるみます。


 名前だけは聞いていた若い女性作家さん、ラノベ出身なので敬遠していましたが、なんのなんの、下手な純文学よりずっと文章力があるし、ユーモアセンスも抜群で。


 リベラルを標榜する自分のなかの思いこみを戒めて、丁寧に読み進めてゆきます。

 作家と読者の出会い、すてき!! もしや逆の立場も……なんて欲張らないで。😅




      🪶




 人間を「ホモ・ルーデンス」(遊戯人)としたオランダの歴史学者・ホイジンガ。

「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや……」と詠んだ平安期の『梁塵秘抄』。

 

 国内外の名言に素直に従えば、フリーになったヨウコさんは遊び(愉しみ)三昧。

 すなわち散文の執筆や俳句の創作&鑑賞、それらを通じての感懐の共有がそれで。


 つまりは人間本来の姿を生きているので、身辺の些事には惑わされずに済みます。

 たまに惑わされても、たいていのことは二、三日で「どうでもいい箱」にポイ !!


 それだけではなく、のちにその箱から引っ張り出した発酵物をネタに掌編を一編。

 はい、さようです、伊達に歳をとっていないので、転びも遊びのうち……。(笑)


 いいこともそうでないことも創作のネタにする強欲ぶりには、われながら呆れ果てますが、なにせ「遊ぶ子どもの声きけば 我が身さえこそ動がるれ」ですから。🤗




      ⌛




 ただし、遊びだからといってなにをしてもいいはずがないことは言うまでもなく、直接間接に他者を傷つける内容や、攻撃的な言葉遣いがご法度なことはもちろんで。


 第一、限りある人生、たとえ一編でもそんなことに無駄遣いしたらもったいない。

 大切な人たちに見せて恥じない創作こそ、クリエイターの真骨頂でありましょう。


 さらに付け加えるならば、近ごろSNSに関してよく言われる「自宅の玄関に貼っておける」文言こそ、わざわざ時間と労力を費やしての執筆にふさわしいと存じます。



 🎶 遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん 🎉🎈🎠🎪🎡🎨⚽🥅

    遊ぶ子どもの声きけば 我が身さえこそ動がるれ 🎊🧸🪁🪅🎣🎿🏓🏸




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遊びをせんとや 🛝 上月くるを @kurutan

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