初めての仲間は可愛い女の子でした


(すごいなぁ……これが本物の異世界かぁ)


 そう思いながらキョロキョロしていると、不意に声を掛けられた。見ると、そこには一人の修道服を着た女の子がいた。年の頃は僕と同じか、ちょっと上くらいだろうか? とても可愛らしい顔立ちをしている。彼女はこちらを見てニッコリ微笑むと、駆け寄ってきた。


「初めまして。あなたが噂の勇者さまですね?」


「え、ええ……」


 戸惑いながらも返事をすると、女の子はさらに話し掛けてきた。


「やっぱりそうでしたか! 私はこの街で冒険者をやっている者です。是非とも私を勇者さまのパーティに加えて頂けませんか?」


 そう言ってペコリと頭を下げる彼女を見て、僕は思った。なるほど、これは所謂ところの仲間イベントというやつだな、と。ここで仲間にすれば後々楽ができるだろうし、何よりもこんな可愛い子と旅が出来るなんて最高じゃないか! そう思った僕は二つ返事で了承した。


「はい、いいですよ」


 そう言うと、彼女は嬉しそうに顔を輝かせた。そんな彼女を見ていると僕も自然と笑顔になる。


「ありがとうございます! これからよろしくお願いしますね、勇者さま!」


「こちらこそよろしくね、えっと……名前は何て言うのかな?」


「あ、すみません! 自己紹介がまだでしたね。私のことは、シスターとでも呼んでください」


「うん、分かったよ、シスターさん」


 そう言ってから、僕たちは悪手を交わした。その時に触れた彼女の手の感触はとても柔らかくて温かかった。思わず僕はそうした感触ににやけてしてしまう。すると、それを見た彼女が不思議そうな顔をした。


「どうしたんですか? 何かありましたでしょうか?」


 そう言われて慌てて表情を引き締める。いかんいかん、つい顔に出てしまったようだ。気をつけなければ……


 それから気を取り直して、僕らは歩き出していった。その際、彼女から色々な話を聞いた。彼女はこの街にある修道院の出身であり、元々は孤児だったらしい。


 しかし、ある時突然、夢の中で神様みたいな人が現れて「この世界を救うのじゃ」と言われたらしい。それを聞いて最初は戸惑ったものの、神様の言葉に素直に従ってきた結果、今に至るという訳だそうだ。


「そういう訳で、勇者さまのサポートは私にお任せください」


 笑顔でそう言う彼女に、僕は頼もしさを感じていた。恰好からして僧侶枠である彼女はおそらく、回復魔法とかに秀でているのだろう。そうした彼女を守って活躍をする僕。そしてそんな背中を見て、彼女はきっと僕に憧れを抱くだろう。


 あぁ、なんと素晴らしい未来予想図なんだろう! そう思うと、ついつい頬が緩んでしまう。こうなれば、一刻も早く、僕の勇姿を彼女に見せなくては!!


 そう思った僕は、シスターさんを連れて街から出て行った。まずは魔王の先遣隊が構えているという拠点を潰す為だ。その為にはまず、周辺の魔物を倒してレベルを上げる必要がある。そこでまず最初に立ち寄ったのは、近くの森だった。


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