第6話 妖奇
「かつての人類はお前らもよく知る機獣という謎の兵器によってほぼ壊滅状態に追い込まれちまったんだ。人類はあらゆる化学兵器を用いて機獣と戦ったが、一部の強大な力を持つ機獣にそんなものは通じなかった。」
「そんな中、機獣を自らの体に宿し、その力を使う者が現れた。人々は機獣を体に宿し、機獣と戦った。」
「だが、力に欲を覚えた者たちが現れた。機獣を自らのために使い出すものたちが現れた。やがてそういったやつらが集まり、組織ができた。その組織はやがて強大なものへと変わっていった。例の盗賊団もその1つだろう。」
「ブラッド……。」
東が表情を濁らせる。
「そんな奴らに好き勝手させないために世界政府が作ったのが 千夜 だ。まあやってることは奴らと変わらんがな。」
「暁さん。変なこと言って上にバレたらどうするんですか?」
カロンが話を止める。
「あぁ、悪い。今のは忘れてくれ。」
暁は焦ることはなく表情1つ変えずに静かに告げた。
「話を戻そう。俺はお前らの体にも機獣をぶちこもうとしてる。機獣が宿った人間は機獣の力を使える代わりに一切歳をとらなくなる。」
「大丈夫です。」
東が答える。カイとヴィオラも続いて頷く。
「即答かよ。てっきり駄々こねられると思ってたから安心したぜ。」
「大した奴らだ。」
カロンが煙草に火をつけながら言う。
「ガキの前で煙草はやめとけ。そしたら、東以外は早速、機獣をお前らに宿すか。あ、それから東、お前は機獣を打ち込まなくていい。」
「なんでですか?」
「調査の結果、お前の腕に打ち込まれたものは機獣だとわかった。だが、そこら辺結構面倒なことになっててな。少しで異変があったら教えてくれ。」
「……。わかりました。」
その後、実験室のような場所でカイとヴィオラは注射器のようなものを打ち込まれた。
「機獣っていうのは人間の体内に入ることで進化するんだ。それぞれの人間の体に合わせて特殊な能力が与えられる。」
「カイの機獣は体の様々なところに熱をためて放つことができる。だが、熱をためすぎると自分の命に関わってくるからリスクはかなり高いな。」
「嬢ちゃんの方は再生だな。肉体が傷ついても機獣のエネルギーを使って再生できる。応用も色々と効きそうだな。」
「……。俺の機獣は、どんな感じなんですか?」
東の質問に暁は頭を抱える。
「まだこっちもよくわかってないんだよな。」
「……。そうですか。」
「とりあえずだ。お前らはしばらく俺とカロンでしばらく特訓だ。ソラ、お前も付き合ってくれるよな?」
「当然です。」
「特訓が終わったら、早速実戦といこうか。丁度1カ月後に機獣島での、ブラッドとの戦争がはじまる。それに向けて強くならないとな。」
「はい!!」
「元気があってよろしい。それじゃあいこうか。」
その頃、ブラッドのアジトでは
「ネズミには逃げられたようだな。」
黒のコートを着た小柄な男が部下の1人に銃をつきつける。
「申し訳ございません。黒崎様。」
「さっきから同じ言葉ばかりだな。それは礼儀と呼ばねえぞ。」
黒崎が引き金を引こうとしたとき、1人の女がアジトに入ってきた。腰にまでかかる金髪に黒の中華風の着物を着た女だった。
「そこで止まれ。」
「大丈夫、私は味方よ。」
女は着物の袖をめくり腕の刺青を見せる。
「なるほど。お頭が言ってた新入りってのはお前か。名はなんという?」
「本名は言えないけど、周りからは妖奇と呼ばれていたわね。」
「……。妖奇だと!?」
黒崎は驚きのあまり、手に持っていた銃を落とした。
「こりゃ、とんだ大物が来やがったぜ。」
「フフフッ。」
妖奇と名乗る女は奇妙な笑みを浮かべた。
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