第4話 機獣島からの脱出

 機械化したカロンの腕は赤茶色に染まり、鋭利なトゲが無数にはえてきた。


 「機獣 狩人。」


 カロンが1人の男に触れると、男は身動きがとれなくなった。


 「何をしたんですか?」


 「機獣の能力を使った。」


 「の、能力……。ですか。」


 カロンは動けなくなった男を蹴り上げる。


 「アジトで話してやる。」


 そうこうしてるうちに男の1人が手に持っていた笛を吹き始める。


 「敵がいたぞ!!」


 至るところから人の足音が聞こえ始める。


 「やはりあいつは、盗賊だったか。まずいかもな。一旦逃げるぞ。」


 カロンは車に乗り込んだ。


 「ヴィオラ。あれを出せ。」


 「はい。」


 ヴィオラはカロンに爆竹を渡す。


 「ナイスだぜ。」


 カロンは盗賊たちに爆竹を投げる。


 「ウワッッ!!」


 驚く様子の盗賊たち。そしてその周りに機獣たちが集まる。


 「とんでもない状況になってきましたね。」


 と東が苦笑いする。


 「敵さんが有利なときはとにかく場を乱す。覚えときな。」


 カロンは車を走らせる。


 「さてそろそろお前らにも働いて貰うぞ。」


 カロンは東とカイに銃火器を投げ渡す。


 「使い方は使いながら覚えろ。若造だが、多少は体幹のあるお前らなら使えるだろう。機獣の弱点は?」


 「腕の付け根。」


 「完璧だ。」


 茂みの中から次々に出てくる機獣たちに東とカイは銃弾を撃ちまくる。


 「やるじゃねえか。お前ら。」


 しばらく走っていると、今度は銃を持った機獣たちが現れる。


 「ヤバい。撃たれるぞ。」


 「上等だ。」


 カロンは車をカーブして、茂みの中を走り出す。草木が窓にぶつかる中、激しい銃声が鳴り響き続ける。


 「ったく、こんな爆音の中、のうのうと寝てるそこの毛むくじゃらは何者なんだよ。」


 カイがクロの方をチラ見して言う。

 

 激しい銃撃戦の中、1体の機獣が車のドアに張り付いた。


 「くそ。1体張り付きやがった。」


 ドアに張り付いた機獣の攻撃により、窓が割られる。その衝撃でクロが外へ逃げ出そうとする。


 「クロ!!」


 ヴィオラはクロの方へ手を伸ばすが、ギリギリで届かなかった。


 「間に合わ……。」


 カイはすんでのところでクロを捕まえた。


 「ナイスキャッチ。」


 安心するのも束の間、機獣の手はヴィオラのもとへと伸びる。


 「!?」


 ヴィオラは機獣の手を掴む。


 「ヴィオラ!! 何してんだ。逃げろ。」


 カイとカロンが機獣の元へ行こうとするよりも早く、東は機獣のコアを破壊していた。


 「大丈夫?」


 倒されたかに思えた機獣であったが、油断した東の右腕に針のようなものを突き刺す。


 「グッ……。」


 カロンはすぐに、機獣に触れて動きを止めた。


 「ごめんなさい。私のせいで……。」


 「い、いいんだよ。これくらい。」


 その後も激しい銃撃戦が続き、カロンたち一行はようやく浜辺についた。


 「あれは……。」


 そこにあったのは巨大な潜水艦であった。


 「着いたぜ。このまま安全なアジトへレッツゴーって訳だ。」


 「ゥ、ゥゥ……。」


 車を降りた途端に東は倒れた。


 「東!! 東! しっかりしろ。」


 カイが必死に呼び掛ける中、カロンは東の右腕を見て小さく汗を流す。


 「な、なんだ? その右腕は……。」


 

 

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