第3話 盗賊団ブラッド

 「カイ。あいつ、怪しいよ。」


 不安そうな東の肩をそっと叩くカイ。


 「カロンさん。俺たちは村であなたのことを見たことがありません。あなた、何者ですか?」


 カイがカロンに訪ねる。カロンは吸っていたタバコを捨てて話を続ける。


 「人を疑うのは素晴らしいことだと義務教育では教えてくれねえ。その点、お前は何の躊躇いもなく人を疑う力を持っている。だが、馬鹿正直に あなた怪しいですね。何者ですか? なんて聞くもんじゃねえぜ。」


 「……。」


 「俺は 千夜 という組織のものだ。簡単に言えば機獣を狩る組織だ。まあその辺のことはアジトでじっくり話すよ。」


 「……。で、千夜とかいう組織のあんたが俺たちに何の用ですか?」


 「お前ら、中々にいい筋してやがる。結構才能あると思うぜ。」


 「何の才能ですか?」


 「機獣を操り、機獣と戦う才能だ。」


 「機獣を……。操る?」


 動揺する2人にヴィオラが言う。


 「私も詳しいことは知らないけど、今はこの人を信じるしか生き残る方法はない。」


 「諭すのがうまいねぇ。お嬢ちゃん。」


 「……。」


 カイと東は車に乗る。


 「ミャーッ」


 東の膝の上に何か毛深くて黒いものが乗る。


 「な、何だこれ?」


 「それは猫って言う動物よ。名前はクロ。東大人しいし、クロに好かれたかもね。」


 「こ、これが猫か……。思ったより小さいんだな。」


 「あぁ。俺も初めて見たぜ。」


 とカロンが眉をあげて話す。


 「それからお前ら、赤い瞳の少女を見かけなかったか?」


 カロンの質問に3人は首を横に振る。


 「そうか……。あ、あとそれと、ここら辺は今盗賊団がうろちょろしてるから気を付けろよ。」


 「盗賊団?」


 「盗賊団 ブラッド 機獣を使い、様々な村を襲う最悪の奴らだ。金品や食糧は根こそぎ奪い取り、何人もの人が拉致された。」


 「村を襲う……。ということは俺たちの村を襲った機獣たちは奴らの……。」


 「可能性はなくはない。」


 しばらく走っていると、車の前に5人組の男が現れる。


 「見ろ。やはりあの村には生き残りがいた。とっ捕まえてお頭から直々に報酬を貰うぞ。」


 男の1人が言う。


 「丁度いいのが来やがった。お前ら、よく見とけ。これが機獣の本当の使い方だ。」


 そう言うとカロンの体に機械のようなものが絡みつく。


 「さあて、ちょっと乱暴いたしやすぜ。」

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