第43話 頭に「ろ」のつく映画といえば?

 スティーブン・スピルバーグは、若干25歳で「激突!」を撮りました。


 山道で大型トレーラーを追い越したドライバーが、そのトレーラーから延々と追われ続ける、シンプルでありながらスリリングな展開は、元々テレビ用であったにも関わらず、そのクオリティから劇場公開となった経緯があります。


 さて、今回紹介する、頭に「ろ」のつく映画も、運転中にトラック運転手を軽い気持ちで挑発したら、延々と追われ続ける作品……。


「ロードキラー」です。


 原題は「Joy Ride」。


 2001年のアメリカ映画。監督はジョン・ダール、出演はポール・ウォーカー、スティーヴ・ザーン、リーリー・ソビエスキーほか。


 大学生のイケメン青年・ルイスは、幼馴染のヴェナに片思い中。


 ある日、彼女が高校時代から付き合ってた彼氏と別れたと聞いて、これはチャンスだと思い立ちます。


 久しぶりに故郷に帰省する際に、彼女も誘うことにしました。


 車を走らせ、彼女の待つ街まで向かっていたルイスは、母からの電話で、音信不通だった兄・フラーがソルトレイクシティの拘置所に送られていたと聞きます。

 身内を助けるために、拘置所に寄り道して、フラーの保釈金を払います。


 フラーは、定職につかずにフラフラしては、警察沙汰になるような騒動を繰り返すチンピラですが、ルイスにとっては仲の良い兄です。

 ルイスとフラーは、久しぶりの再会を喜び合います。


 いろいろ話をしているうちに、行くあてもないフラーは、しばらくルイスのドライブに同行することにしました。


 ヴェナとの集合場所に向かう途中、立ち寄った店で中古の無線機を買い、フラーはルイスに無断で、ルイスの車に無線機を設置しました。


 勝手なことをしないでくれ、と咎めるルイスに、フラーは「結構面白いんだぞ。長い道中の暇つぶしにいいじゃないか」と笑っています。


 最初は警察無線などを傍受していましたが、近くを走行中のトラックドライバーと交信を始めて、面白くなってきました。


 そのトラックドライバーは、「ラスティ・ネイル」と名乗ります。


 ルイスは声変わり前、女性の声色を真似て、イタズラ電話をする特技を持っていました。

 それを覚えていたフラーは、ルイスに「キャンディ」という女性の名前を騙らせて、ラスティ・ネイルに対してエッチな言葉で誘惑するように指示します。

 最初は渋々だったルイスも、興が乗ってきて、悪ノリを始めてしまいます。

 暇つぶしの、それっきりの“悪ふざけ”のつもりだったのですが……。


 無線でからかううちに、ラスティ・ネイルは、実在しないキャンディ相手に本気になって「どこかで会えないか」と言ってきました。

 声を殺して、ルイスもフラーも笑っています。

  

 その誘い方があまりにもしつこいので、聞いていたフラーが苛立ち、無線機を取って「男が女声出してお前をからかってたんだよ、バーカ!」と真実を告げて、無線を切りました。


 すると、ラスティ・ネイルは「俺は本気だったのに、からかったのか……」と、重い声で語り掛けてきました。


 それ以降、主人公たちの車を特定して、殺人を犯してでも延々と追跡してくる……無線でやり取りした、顔も知らない相手がホンモノのサイコキラーで、追われ続けるサイコスリラーです。


 クライマックスでは、やっと逃げられたかと思いきや、ヴェラや、ヴェラの友人まで巻き込む大事件になっていきます……。 


 2008年には続編の「ロードキラー マッドチェイス」が製作されています。

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