第44話 頭に「わ」のつく映画といえば?

「どんでん返しがある作品」などと、見る前に紹介されると、期待値は増すうえに、途中まで見ても「どうせこのあとに波乱の展開があるんでしょ」とひねくれたモノの見方をしてしまいそうですが。


「どんでん返しが“何回も”あるとか言われると、その時点でもうネタバレだよ!」と怒る方もいらっしゃるかもしれませんが、まあ、その通りですわ。


 どんでん返しがある映画は、「どんでん返しがある」と知らずに、事前情報ナシでぶつかって鑑賞して、未知の驚きを味わうのが、最高の幸せなのです。


 分かったうえで、これから皆さんの「最高の幸せ」を少しずつ削っていきますよ。

 大丈夫、どんでん返しが“ありすぎる”と、逆に感覚がマヒしていきますので。


 頭に「わ」のつく映画、「ワイルドシングス」を紹介します。


 原題は「Wildthings」。


 1998年のアメリカ映画。監督はジョン・マクノートン、出演はケヴィン・ベーコン、マット・ディロン、ネーヴ・キャンベル、デニス・リチャーズ、ビル・マーレイほか。


 どんでん返しに次ぐどんでん返しの展開が待ち受ける、エロティックでトリッキーなサスペンス・ミステリーです。


 今回のエッセイ、ここまでで「どんでん返し」って7回言ってますね。言い過ぎ。最終回サービスで「どんでん返し」ワード増量中です。返品不可。


 さて。物語はこんな感じ。


 良家のお嬢さんが通うブルー・ベイ高校の女子生徒ケリーが、指導教員のサムを「あいつにレイプされたの!」といきなり訴えました。

 サムは、身に覚えがありません。


 ケリーの家が地元でも有名な富豪だったこと、サムが皆から人気のある教師だったことから、地元メディアも注目する大事件として、大騒ぎになります。

 ゴタゴタもめた上に、騒ぎを恐れた学校側が、サムを免職処分にしてしまいます。ひどいや。


 潔白を証明するため、サムは弁護士を立てて、法廷で戦うのですが、ケリーの友人・スージーも、「あたしもサムからレイプされたことがあるの」と、ケリーと共に法廷に立って証言をしました。

 えらいことになりました。どう考えても勝ち目なし、ムショ行き確定コースです。


 だが、サムの弁護士・ケンが、スージーの証言の中の小さな矛盾に気付き、その点を突いて反撃。

「法廷で嘘をついたら、偽証罪で罪に問われますよ」とスージーを追い詰めます。

 この弁護士、なかなか出来るヤツです。


 スージーはヤケになって「あたし、本当はレイプなんかされてない! ケリーだってそうよ!」と全部ぶちまけてしまいます。


 そう、これは、イケイケ女子高生ケリーが、サムを誘惑してもノッてこなかったので、プライドを傷つけられ、復讐のために友人のスージーも巻き込んで大ウソをついたのでした。


 こうして裁判は逆転無罪、地元で一番の富豪だったケリーの家から、サムは莫大な額の賠償金を受け取りました。


 ところが、これはなんと、サム、ケリー、スージーが金のために裏で共謀した、狂言レイプ騒動だったのです。

 ケリーは、資産が親の管理下にあって自由に使えないので、根こそぎ引き出してやろうと企んで、サムを使って金を引き出したわけです。悪いやっちゃ。


 こうして、町中の人たちを騙した大事件は、金に目がくらんだ三人の悪党のくんずほぐれつなエッチなシーンで幕を閉じるのです……ケリーとスージーの二人を一緒に相手するなんてうらやましいぞサム、と終わるわけではありません。

 なんと、ここまででも、まだ全体の半分くらい。


 事件を捜査していたレイ刑事は、三人の関係を怪しんで、執拗に周囲をつけ回します。


「レイ刑事に真相を見抜かれるかも…」と怯えたスージーは、サムに助けを求めます。

 一方、サムも「怖がるスージーが、全部バラしてしまうのではないか……」と危惧し、スージーを始末してしまいました!


 強引な方法でケリーから情報を聞き出そうとしていたレイ刑事は、逆上して銃を奪おうとしてきたケリーと争いになり、うっかり引き金を引いて、ケリーを撃ってしまいます。


 どーなんの! これ!


 どんでん返しに次ぐどんでん返しのエロティック・サスペンス作品です。


 この「ワイルドシングス」シリーズは現在4作目まで製作されていますが、それぞれが独立した作品となっており、ストーリーや登場人物に関連性はありません。


 ただ、「どんでん返しの連続のサスペンス」という共通点、そして、シリーズの特徴として「男1・女2の3人でアレコレしちゃうエッチなシーンが必ずある」という点が挙げられます。

 正直なところ、この「1」が一番面白く、「2」「3」「4」以降は「あー、またこのパターンなのね……」と「1」の焼き直しのような印象を受けるのですが、エッチなシーンが魅力的に描かれているので、私はこれからも続編が出るのであれば、見続けていきたいと思います!


 このエッセイの中で「どんでん返し」って10回も使っちゃった。

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