第22回 頭に「に」のつく映画といえば?
SF映画といえば、科学が発展しすぎたがゆえに、人とのつながりが希薄になっていたり、逆に文明が荒廃していたり……と悲観的な未来を描く内容も多い中、これから紹介する作品は、アメリカのマンハッタン島ひとつまるごと、刑務所になっている未来世界。
頭に「に」のつく映画、「ニューヨーク1997」を紹介します。
原題は「Escape from New York」。
1981年のアメリカ映画。監督はジョン・カーペンター、出演はカート・ラッセル、リー・ヴァン・クリーフ、アーネスト・ボーグナインほか。
近未来、犯罪率の増加に頭を痛めたアメリカは、ニューヨークのマンハッタン島をコンクリート壁で囲み、その島まるごとアメリカ最大の刑務所にしました。
そこには終身刑の犯罪者たちが集められ、定期的に投下される食糧配給以外は、囚人による自治で統治されています。
1997年(映画製作当時の、16年先の未来です)、第三次世界大戦が終結しつつあった、ある日。
アメリカ大統領専用の旅客機がテロリストに乗っ取られ、刑務所と化しているマンハッタン島に墜落させられてしまいます。
大統領は脱出用ポッドで逃れたはず……でしたが、マンハッタン島に救助に行った突入部隊が発見したのは、こじ開けられた痕跡のある脱出ポッドだけ。
大統領は拉致され、囚人たちは大統領を人質に、刑務所の警備の撤退を要求してきたのです!
この難問に対し、ある男に密命が下ります。
元・特殊部隊の隊員でありながら、強盗の罪でマンハッタン島に「罪人」として収監される予定だった男・スネーク。
彼は、釈放を条件に、マンハッタン島へ単身潜入、大統領の救出作戦を引き受けます。(かなり嫌々ですが)
スネークが逃げないように、24時間後に爆発する小型爆弾を首筋に注入されたうえで、武器を渡されました。
(信用されていないんじゃ、そりゃ気分も乗らないわ)
そして孤独な戦いを挑むのです……というSFアクション作品。
「ハロウィン」「遊星からの物体X」「ゼイリブ」などでおなじみ、ジョン・カーペンター監督の、味わい深いB級作品。
1996年には、続編……というよりは実質的なセルフリメイクに近い「エスケープ・フロム・L.A.」も製作されています。
眼帯に無精ヒゲ、ワイルドな雰囲気で格好良くタバコをふかす……そんな主人公、スネーク・プリスケンは、コナミのゲーム「メタルギア・ソリッド」シリーズで、主人公のソリッド・スネークのモデルになったそうです。
物陰に潜みながら、敵の基地に単身乗り込み、進んでいくストーリーも参考にしているとか。(シリーズの生みの親・小島秀夫氏がファンなのだそうで)
この「ニューヨーク1997」には、特撮スタッフに若き日のジェームズ・キャメロンが参加している事でも有名です。
現在のようにコンピュータグラフィックの技術が発展していなかったこの時代、この作品の冒頭で描かれる「CGっぽいマンハッタンのイラスト」は、段ボール箱にガムテープを貼って、ブラックライトを当てるというアナログな技法で「それっぽく見せた」映像だそうです。
まだCGに莫大な予算が必要だった当時、知恵を絞って生み出された効果的な方法で、それを知った後でまじまじと眺めても「マジか」と驚かされます。昔の人は、アイデアとテクニックと頑張ってたんだなあ、と感心させられます。
この作品を友人たちと見た当時、主人公の真似をして、名前を呼ばれても「……スネークと呼べ」と返すのが仲間うちで流行りました。
ちょっとタメて、タバコをふかして言うのがポイント。
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